同窓生は今

今人生、真っ盛り ~28期(海)~

2022.12.28

「返事は常に、はい!か、Yes!か、喜んで!」

  相澤 輝昭(28期 海上)相澤 輝昭

 28期海上の相澤輝昭でございます。2016年に防研戦史研究センター安保政策史研究室で退官後、巡り巡って2020年から防大防衛学教育学群統率・戦史教育室准教授を勤めています。今般、「小原台だより」への投稿依頼を頂き、「何で私に?」と問い合わせたところ「退官後の波乱万丈が面白そうだったから」との事で、ならば文字通り「今人生、真っ盛り」の現職隊員(防衛教官)として、ここに至る紆余曲折と現況など、決して「盛った」話ではなくファクトベースで御紹介したいと思います。

 私の現役時代は特技である掃海、潜水関連配置が主でしたが、30代半ばに大学院研修(国際政治修士)機会を頂き、外務省出向なども経験していたことから、勤務の傍ら安全保障関連の研究にも取り組んでおり、いずれ研究職に就き、願わくは退官後も再任用でその職務を継続したいと希望しておりました。最終配置の防研で念願が叶い、ここでは要人の口述記録を作成し歴史資料とするオーラル・ヒストリーを担当しましたが、それを通じて私は安保政策史、自衛隊史関連の史資料の現況に問題意識を持つようになりました。

 それはこの分野においては「一次史料が公開されない場合が多いため、学術研究が困難」との指摘があり、まさにそれ故にオーラル・ヒストリーが必要とされている訳ですが、やはり本筋としては公文書管理法の下、所要の歴史公文書が然るべく評価選別され、的確に保存管理されて時機を得て公開されるよう制度及び運用の改善が必要ではないか?というものでした。その検討に資するべく国立公文書館「アーカイブズ研修Ⅲ(公文書館専門職員養成課程)」を受講し、これを修了(後に創設された同館の「認証アーキビスト」制度では第1期として認証)しましたが、ここで得られた知見はこの問題の解決に向けて非常に示唆的なものでした。そして本件の改善には長い時間を要すると見込まれたため、再任用を一層強く希望するようになりましたが、残念ながらオーラル・ヒストリーや行政文書管理改善の必要性などについて海幕の御理解を頂くには至らず、敢え無く不採用となりました。

 さて、ここからが本題の「波乱万丈物語」で就活のスタートとなる訳ですが、当時の海幕援護は「学術関係は自己開拓」という仕切りであり、我ながら「無謀な挑戦」とは思いつつ大学やシンクタンク、関係官公庁など少しでも引っ掛かりそうな公募に片端から志願しては死屍累々といった日々が続きました。そんな訳で防研での退官挨拶では「同情するなら職をくれ!」、挨拶状では「新たな人生航路は『霧中航行用意!』の今日この頃ですが・・」と述べた次第であります。それでも「拾う神」は在るもので、もう諦めて一般的な仕事を探そうと考え始めたところで昔お世話になった外務省がアジア大洋州局地域政策課専門員(非常勤)として採用してくれました。ここでは歴史問題が主担当でしたが、経歴に鑑みて南シナ海関連の中ASEAN関係なども所掌し、2016年7月の南シナ海仲裁裁判に際してはリアルタイムでの各国対応のモニターなど、非常に貴重な経験もさせて頂きました。

 このように外務省での勤務は充実したものでしたが、ステップアップを期して笹川平和財団海洋政策研究所(SPF/OPRI)の研究員に応募したところ、実はこちらは一度蹴られているのですが、今度は外務省での業績を評価して頂けたようで幸いに採用となりました。ここでは海洋安全保障を担当し、研究者として大変充実した勤務となりました。そんな中で自身の研究成果としては外務省勤務当時から注目していた「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」をテーマに「外務省HPから読み解く・・」と題する解説を発表したところ、これが思いのほか評判が良く、何本かの論文中で引用をして頂けたほか、海外からも問い合わせを頂くなど、ささやかながら私にとっての「出世作」となり、以来、私はウケ狙いと本件フロントランナーの一人という自負を込めて「自由で開かれたインド太平洋芸人」を自称している次第であります。

 そうしてOPRIでの勤務が2年を経過した頃、防大で「自衛隊史」と日本語研修生に対する教育を担当する教員の公募があることを知り、これに応募することとしました。元より母校での教育研究をという強い希望はありましたが、それに加えて前述の防衛省・自衛隊における行政文書管理改善への再チャレンジという思惑もあり「敢えての挑戦」をと考えた次第です。幸い面接まで進むことができ、そこで自己PRとして述べたのが副題とした「返事は常に、はい!か、Yes!か、喜んで!」でした。この言葉は揶揄的に使われる場合もありますが、私自身は現役時代からこれを「仕事の流儀」としており、今にして思えば上記で縷々述べて来た退官後の「波乱万丈」も、結果的にはそのチャレンジ精神が功を奏したものと考えています。

 そして念願叶って防大教員として採用された現在、その言葉に違わぬよう、統率・戦史教育室准教授としての本務は元より国際交流センター、グローバル・セキュリティーセンターの兼務、校友会ヨット部部長としての職務、また、教官研究として進めている行政文書管理改善の取り組みや各種の対外発信などなど、手を広げ過ぎて少々オーバーフローの感もあり、時には「No!か、いいえ!か、ふざけんな!」に宗旨替えを、と考えることもないではありませんが、やはり基本的にはあらゆる職務に対して前向きに取り組んでいこうと思いを新たにする今日この頃でございます。

★監修協力したMAMOR2022年7月号「防大准教授が説くエンタメ作品で描かれた自衛隊変遷史概論」<br>に提供した筆者の講義風景

前の記事  次の記事

News & Topics