同窓生は今

今人生、男盛り ~26期(陸)~(1)

2020.12.29

「コロナ禍の勤労感謝の日に思う」

  鈴木 純治(26期 陸上)suzuki2.png


 新型コロナウイルス感染拡大の継続する中「今人生、男盛り」への寄稿の機会を頂き、何を書こうかと暫く考えていましたが、女子卒業生の活躍も多く耳にするこの頃「男盛り」?も無いなと考え、この言葉にとらわれることなく最近の状況等について述べてみることにし ました。

1 「己に徹して人のために生きる」

 「己に徹して人のために生きる」は、私の卒業した高校の校訓です。防大入校以来この言葉をあまり意識することなく自衛官一筋、井の中の蛙状態で必死にもがきながら過ごしてきましたが、今から思うとこのこと自体が「己に徹して人のために生きる」ことではなかっ たかと思っています。まさに自衛隊という組織は、知らず知らずのうちに「己に徹して人のために生きる」ことを実現させてくれる組織 であったと思います。
 3年前、自衛隊を退官して一般の企業に再就職しました。企業等で働く人たちの働き甲斐は何処にあるのか、これまであまり考えたこと もなかったのですが、今年のコロナ禍の状況において、新たな働き方が求められる中、大変重要なテーマであると思っています。
 企業は収益を上げることを目標に毎日努力をしていますが、それだけではなく収益を上げる活動を通じて社会に貢献していくという大きな目的があると思います。例えば車を製造販売する会社は、これにより収益を上げるのみならず、世の中の輸送に貢献しています。また これは企業に限らず個人で様々な活動している人たちも同様であると思います。例えば芸術家は、その芸術を通じて豊かな暮らしを社会に提供することができます。
 単にお金を稼ぐ、家族を養うためではなく、社会の一員として何らかの貢献をするということが、多くの人々の働き甲斐になっているのではないでしょうか。新型コロナウイルスの感染が収まらない状況下、改めて「働く」とは何かと考えさせられる勤労感謝の日(これを書いているのは令和2年11月23日)です。

2 ボランティアとしてのJMAS(日本地雷処理を支援する会)の活動

 一方、縁あってJMASの一員としてボランティア活動をすることとなり、現在理事長として業務を行っています。
 ご承知の方も大勢いらっしゃると思いますが、日本地雷処理を支援する会(JMAS)は、自衛官経験者を中核に、地雷地帯の処理安全化活動を実行するNGOとして、日本人の誠意と真心を、国際社会の現場でお金や物のみの支援ではなく、現地で働く人間の姿として表現するという趣旨で設立されました。
 過去に、この誌面でも当時現場で活動されていた先輩からの投稿がありましたが、現在も外務省からの資金援助に加え、劣悪な環境にも拘わらず強い使命感・責任感と情熱を持って活動するメンバーに対し、個人・法人・賛助会員、寄付者・団体、コマツ様を始めとする特別協力企業等から多大なる御支援・御協力を賜り、その活動は本年で18年目を迎えました。
 現在JMASは、主としてカンボジア、ラオス、パラオ及びミクロネシアで、陸・海・空の自衛隊OBが活動しています。カンボジアでは、現地組織CMACと連携して、ポルポト派が最後まで抵抗したタイとの国境に近い地雷高密度地帯等において、地雷処理活動、不発弾処理活動及び安全な村作り等地域復興支援活動を行っています。
 またラオスにおいては、現地組織UXOLaoと連携して、不発弾処理、中でもベトナム戦争当時のクラスター子弾の処理に力を入れ、独自の機械処理を推進しつつその技術を移転しています。

★爆破処理(カンボジア) ★機械処理(ラオス)

 太平洋の戦略的要衝パラオにおいては、沈没船に残っている爆雷等ERW(爆発性戦争残存物)の処理を行うとともにその技術移転に向け努力しています。
 またミクロネシア・トラック環礁においては、先の大戦で沈められた戦没船の捜索・位置の特定及び沈没状況の把握に加え油脂漏洩防止 の応急処置等を行っています。

★爆雷ラッピング(パラオ) ★船体確認(ミクロネシア)

 今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現地との往来もままならず活動が困難・混迷していますが、そのような中においても現地で活動するメンバーの努力と工夫で必死に活動を継続しています。また国内においてもこれまで通りに広報活動もできず、ご寄付等の御支援も例年のようにはいかない状況です。
 是非読者の皆様にはJMASの活動にご理解を頂き、ご入会、ご寄付等御支援・御協力を頂ければ幸いです。詳しくは、JMASのホ ームページをご覧ください。

3 最後に

 「己に徹して人のために生きる」とは、自分の自己実現のための活動を徹底して行い、結果としてそのことが社会あるいは他の人のためになる、そのような生き方を目指せということだと思っています。これからも、時々立ち止まってこの言葉を思い出したいと思います。

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