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同窓生は今

今人生、男盛り(24期-その2)

2019.02.04

            「 感 謝 一 念 」otoko24_02_01.png

   海24期 槻木 新二





目下、私の心境を表す言葉は、「感謝一念」である。

<自衛官を退官して>
 1980年3月防衛大学校卒業後、海上自衛官として約35年間奉職、2014年12月退官した。その翌年、開校40周年を迎えた海上自衛隊第4術科学校(舞鶴)の校長から記念講演の依頼を受けた。
 期待に応えられるか不安であったが、後輩校長からの依頼とあっては無碍にもできず、恩返しと思い引き受けた。講演の対象は、学校職員及び学生、幹部自衛官から曹士自衛官・事務官等、年齢も階級も経歴も様々で、どこに焦点を絞って話すべきかテーマに窮したが、結局「一先輩の想い ~よりよい勤務をするために~」と題して実施した。
 それは、当時の心境を自然体で素直に伝えたいという想いからであった。講演の冒頭で私は、「制服を脱ぐ時に、三つの感謝の気持ち ①自分に多くの経験と成長の機会を与えてくれた組織への感謝の気持ち ②自分を導きあるいは支えてくれた先輩・部下・同僚に対する感謝の気持ち ③最も身近で自分を支えてくれた家族等への感謝の気持ちが自然と湧いてくれば、総じて良い勤務、充実した勤務であったと言ってよい。」と述べた。
 そして、最終的にそのような気持ちを感じるために、「①分を尽くす ②"いい人"に巡り合う ③勤務上のバランス、心のバランスを大切にする ④健全なものの見方・考え方を持つ」ことの大切さを強調した。なお、この講演は、新たなステージに身を転じた私にとっても、「己の分を知り、分を尽くす」という生き方を改めて自分自身に言い聞かせるよい機会となった。

<会社経営に携わって>
 新たなステージは、正に天の計らいとしか言いようがない。自衛官退官後、2年余を経過した2017年4月からあるグループ会社の子会社(従業員557名。2017年度末現在)の代表取締役に就任した。一転して、民間会社の第一線に身を置くこととなった。重責と会社運営の厳しさを実感しつつも、充実した日々を送っている。
 社長就任にあたり、「社長とはいかにあるべきか」を、まずもって自問し、いくつかの指南書も当然ながら読んでみた。しかし、自らの経歴を考えた時、必ずしもしっくりいくものではなかった。社長就任期間中は自問が続くことは間違いない。
 社長就任にあたって、私は、細かいことは抜きにして、「①目的にベクトルを合わせる。②健全な職場づくり。」の2点は、会社経営の土台と信じていることを社員に伝えた。社長就任1年目は何とか切り抜けたが、目下2年目にあって経営目標を達成すべく、会社一丸となって奮闘している。されど事業環境はなかなか厳しいものがある。また、グループ会社の一員として、次期中期経営計画(2019年~2021年の3か年計画)の成長戦略を描き、果敢に挑戦していかなければならない立ち位置にあるが、社員個人の成長や幸せと会社の成長が乖離しないことが大事であり、引き続き「目的にベクトルを合わせる。健全な職場づくり。」に意を用いていきたいと思っている。
 新米社長とは言え、自らを信じ、自らの考えを持って臨むことが大切であり、その考え方の軸となるのは、何といっても永年の自衛隊での経験そのものである。また、自らが精神的安定を保つことは大切であり、その精神安定剤は、目下、家族の支え、信友との交わり、座右の書(森信三、中村天風、平澤興などの書)等となっている。いずれにしても、「人生二度なし」と考えた時、自衛隊とは全く異なる民間会社の経営に従事し、社員とともに社会貢献できることは、この上ない喜びであり、感謝一念である。

<病気をして>
 私も還暦を過ぎた。現役自衛官の時に誇った体力も少しずつ「ガタ」が来ていた。退官数年前から体の変調を感じることが多かったが、その変調に正面から向き合うことなく放置状態であった。そんな私の態度を心配した妻から一押しならず二押しを受けて、会社規定の人間ドックを受けた際、医師との問診で、気になっていた体の変調について相談した。
 当該医師の見立てで即座に別の専門医師との問診、採血が実施された。後日、血液検査の結果から成長ホルモン分泌過剰の可能性大ということで、専門病院での検査入院となり、成長ホルモン産生下垂体腺腫による病気と判明した。このまま放置すれば、将来いろんな合併症を引き起こすため、本寄稿期限直前に主治医の薦めにより手術治療を受けた。
 入院期間2週間、その後数日間の自宅療養をとり、ほぼ健康体に回復した。此度の手術・入院は、私にとってこれまでにない大きな病気であった。手術当日及び翌日の二晩はICUで寝たきり状態、各種の治療具が装着され、2時間ごとの各種測定を受け、眠ることもままならず、何もできない無力な自分と向き合っていた。
 わずか二晩とは言え、この間の看護師の温かい言葉に触れ献身的な看護に大いに励まされ、感謝の気持ちで一杯となった。また、入院期間中、日々少しずつ「普通」の体に近づいていく過程で些細な変化に喜びを感じた。此度、主治医からは病状の早い段階で治療できたことは幸いである旨の話があった。これも「妻の後押し」や人間ドックで居合わせた専門医師の存在など、顧みると幸運を感じる。これからの晩年期の土台となる健康を整える最高の機会となったことは間違い。感謝一念である。

<晩年期に向けて>
 「人生100年時代」と言われる昨今である。人生100年は難しいとしても男性平均寿命81歳に照らしても残り20年ある。しかし、これからの20年間は、人生の晩年期であり「下り坂」である。
 自衛官退官までのいわゆる「上り坂」人生とは、明らかに歩み方が変わるのは当然である。目下、幸いにして、民間会社の第一線に身を置き、気持ちは、自衛官現役当時と同程度の心構えで臨んでいるが、この役職の期間は短いものである。その後は、正に肩書無しの一人間として、アイデンティティを失うことなく、自分らしい目標を定め「下り坂」を着実に歩んで行きたいものである。
 その際、心に響くのは、次の言葉である。「人は退職後の生き方こそ、その人の真価だといってよい。退職後は、在職中の三倍ないし五倍の緊張をもって、晩年の人生と取り組まねばならぬ。(森信三先生 一日一語) 」

 晩年期に向けて、「一切の事柄をすべて感謝に振りかえて」自分の道を歩んで行きたいと思っているこの頃である。 感謝一念!

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