同窓生は今

67期生に聞く ~陸自一般幹部候補生(1)~

2023.10.30

「防衛大学校での生活を振り返って、後輩たちに伝えたいこと」

shimadashu1.jpg



陸上自衛隊幹部候補生学校
 第3候補生隊第4区隊
  一般幹部候補生 陸曹長 嶋田 透哉

 私は現在、陸上自衛隊幹部候補生学校第104期BU課程に入校中の防衛大学校本科第67期卒業生、嶋田候補生です。

 3月に防衛大学校を卒業し、福岡県久留米市にある幹部候補生学校に入校してから早くも5か月が経ちました。初級幹部として必要な資質と識能を涵養するため勉学、訓練等に励んできたこの5か月間は、非常に忙しい日々でありました。しかし同時に、その生活を通して自分自身が心身両面において成長していることを実感しており、また、頼れる同期達と共に切磋琢磨しながら共通の目標に向けて努力できていることに対し、充実感も感じています。入校前には果たして自分は幹部候補生学校でしっかりとやっていけるのかといった不安もありました。しかし、いざ入校してみると、候補生のことを親身になって指導してくださる教官の方々や、濃密且つ効率的なカリキュラムと環境のおかげで、そのような不安はいつの間にか払拭されていました。おそらく今防衛大学校にいる後輩の中には、私がそうだったのと同じように、幹部候補生学校への入校に対して何らかの不安を感じている人が多いのではないでしょうか。私もまだ至らない所ばかりの一候補生ではありますが、その不安を少しでも和らげ、入校に向けて今何をすべきか考える上での一助としてもらうために、私の経験と反省を踏まえて以下の3点を伝えたいと思います。

 まず、当たり前のことではありますが、防衛大学校での生活には間違いなく意味があるということです。しかし中には、防衛大学校での教育に対して「このままでいいのか」と疑問や不安を抱いている人も少なからずいるのではないかと思います。先ほど私は幹部候補生学校の教官の方々と環境に助けられ、入校前の不安を払拭することができたと述べましたが、それらと同等かそれ以上に、防衛大学校で得た学びは私を強く支えてくれました。例を挙げると、学生間指導を通して得た他人のことを理解しようとする力、学生舎運営や校友会活動を通して得たリーダーシップの基礎、あるいは時間的にも精神的にも余裕がない状況下で冷静に行動する能力などは、間違いなく防衛大学校での生活を通して得たものであります。私も恥ずかしながら、幹部候補生学校に入校してしばらくしてから初めて、防衛大学校の生活を通してこれだけ多くのものを学ぶことができていたのだと気付かされました。ずっとその環境の中にいると気付かないかもしれませんが、防衛大学校はそれだけ多くのものを日々の生活を通して学べる環境が整っている場所です。そのことに自信をもって一日一日を過ごしていくことで、卒業する時には卒業後も通用する多くのものを身につけられていると思います。

 次に、目的意識をもって生活するということです。先ほど述べたように、防衛大学校には自分を大きく成長させる環境が整っています。しかしながら、何も考えずただその日その日を過ごしてしまうと、なんの学びも得られないまま卒業してしまうということが起こり得ます。そうならないために重要なのが、常に目的意識を持つということです。自分が何のために防衛大学校で生活しているのか、どのような幹部自衛官になりたいのか、常に考え続けることです。そうすることにより、日々の生活の中に学びが生まれ、経験に意味が生まれます。また、目的を定めると目標が定まり、目標が定まるとそれと今の自分を比較するようになり、それは自分を客観的に見ることにも繋がります。結果として自分がどういう人間なのか考える時間も増え、これも私が防衛大学校で得られたと思う要素の一つです。自分と向き合い、自分という人間について理解を深められたことは、幹部として必要な資質を涵養するうえで大きな利点となります。

 最後に、今を楽しむということです。単に遊んでいればいいということではありませんが、防衛大学校での4年間ほど時間と機会に恵まれた期間はこの先ほとんどありません。また、修養の場であると同時に、二度とない学生時代でもあります。その貴重な4年間の中で、様々なことにチャレンジして多くの失敗を経験したり、幹部自衛官という枠に囚われずに幅広い分野の勉強をしたり、校友会活動に一生懸命に取り組んだりと、4年間を余すところなく充実させてもらいたいです。そうして、その時々目の前にあることに対して全力で取り組んでいれば、後悔は残らず、自己の充実にも繋がります。加えて、今周りにいる同期達との時間を大切にすることも重要です。陸上要員の同期とは幹部候補生学校でまた共に頑張ることになりますが、海上、航空要員の同期とは今後会う機会は中々ありません。だからこそ、同期を大切にして、将来にまでつながるような人間関係を築いてほしいです。

 これまで述べてきたことは、私が幹部候補生学校に入校して初めて気付いたことや、もっとこうしていれば良かったとの反省から後輩の皆さんに伝えたいと思ったことです。もし皆さんがこれを読んで幹部候補生学校に対する不安が少しでも減ったのなら幸いです。一日一日を大切にして、楽しみながら、目の前のことに一生懸命取り組んでいって下さい。そうすれば、防衛大学校での生活は必ず何かをもたらしてくれます。私も、皆さんに負けないよう、幹部候補生学校での残りの教育に全力で臨んでいきます。同じ目標に向かう者同士、お互いに頑張っていきましょう。またどこかで皆さんと一緒に勤務できることを楽しみにしています。

(2023.10)

前の記事  次の記事