同窓生は今

第66期生に聞く ~空自一般幹部候補生~

2022.10.23

「BU一体化における防大出身者の真価」

航空自衛隊幹部候補生学校66_jyouno.jpg

 第2中隊第1区隊 

  一般幹部候補生 空曹長 城野 勝功



1 はじめに
 はじめまして。本年4月、航空自衛隊幹部候補生学校(以下「幹候校」という。)に入校した城野曹長です。私が現在所属している幹候校は、従来別々であった防衛大学校(以下「防大」という。)出身者と一般大出身者の課程教育が、令和4年度から一体化されました。この課程は、防大出身者を表すB課程と一般大出身者を表すU課程が一体化したことから、BU課程と呼称され、課程期間が約9か月となっています。
 本課程を履修している中で、私自身防大出身者の真価について考えるようになりました。そのため、本稿では、私が防大出身者の真価について考えるようになった経緯に触れつつ、私の考える防大出身者の真価及び幹候校でその真価をどう発揮すべきかについて述べたいと思います。

2 防大出身者の真価を考察するに至った経緯
 本年度のBU課程のカリキュラムでは、防大出身者と一般大出身者が同じ空間で同じ内容の教育を受けています。その中で我々防大出身者は、ここ幹候校で何を学び、どのような存在となることが求められているのか、そして防大出身者の真価とは何なのだろうかという問いが生じてきました。

3 防大出身者の真価に関する考察
 私はよく、防大では4年間をかけて人格形成を主体とした教育を行うと耳にしてきました。私自身の防大生活を振り返ると、学生間指導や学年ごとの役割を考えた自主自律、同期や先輩後輩との関わりにおいて多くを悩み、人間関係の難しさを学びました。それを活かし、幹候校においても防大出身者の多くが、入校当初から多くの場面においてリーダーシップを発揮し、一般大出身者を牽引しています。
 読者のみなさんの中には、防大出身者は防衛学の履修及び各種訓練による知識技能があるから一般大出身者をリードできるのだと考える方もいるかもしれません。しかしながら、知識は幹候校における課程教育を通して修得することができるものであり、防大出身者が知識の豊富さで一般大出身者を凌駕し続けることは不可能です。実際に、課程履修の半ばに差し掛かった今、実際に防大出身者と一般大出身者の基礎的な軍事知識の差は薄れてきています。では、一体何が防大出身者を防大出身者たらしめるのか。それはやはり、防大で培われた良き人格、人としての魅力ではないかと思います。そして、その人の魅力によって多くの場面で強いリーダーシップを発揮できているのだと思います。したがって、防大出身者の真価は人としての魅力であると言えます。

4 防大出身者としての真価を発揮するために
 防大出身者の真価、いわゆる人としての魅力は、防大出身者が共通して保持しているであろう、ノリの良さや同期意識の強さに限定するものではありません。私の考える人としての魅力は、自身の長所、個性を軸とした様々な魅力のことです。幹候校においてそれを発揮するためには、一般大出身者をはじめとする出身ソースの異なる学生との関わりを通して、防大で培った自身の長所や魅力を再認識し、進化させることが必要であると思います。この進化には、自身の長所や魅力を課程期間の訓練のみならず、様々な活動において発揮し、成功する経験が必要です。この成功体験を通じて、自信をもたらし、人格の更なる練磨と深化へと繋がり、ひいては防大出身者としての真価の発揮に資するものと確信しております。

5 おわりに
 幹候校における全ての教育や業務に愚直に取り組み、その上で、自身の人としての魅力をもって本気で多くの人とぶつかること、特に防大出身者と違うバックグラウンドを持った一般大出身者と関わることで、自身の人としての魅力をさらに輝かせることができると思います。これこそが、幹候校で真に学ぶべきことではないでしょうか。
 私自身も、課程履修残り約3か月、ここに述べた人としての魅力を高めるべく、課程履修に愚直に邁進していく所存です。同期学生はもちろん、今後入校する後輩の皆さんも、あらゆることに愚直に取り組み、自身の強みを認識して防大出身者の真価を発揮してほしいと思います。防大出身者としての真価を発揮することで、幹候校においてBU課程を盛り上げ、ひいては将来の航空自衛隊の精強化に貢献する所存です。

(2022.10.23)

★徒歩行進訓練において中隊長として指揮を執る様子(筆者:写真中央)

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