防衛大学校関連

新副校長(企画・管理担当)に聞く

2021.11.06

「防衛大学校の充実・強化について」

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 防衛大学校副校長(企画・管理担当)
    赤瀬 正洋

 本年7月1日付で防衛大学校副校長を拝命いたしました。至らぬ点多々あるかと思いますが、皆様方からご指導を頂きながら、精一杯努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 まずもって、防衛大学校同窓会の皆様方におかれましては、日頃より大変ご理解、ご協力、ご支援を賜っているところでありまして、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げる次第です。

 私は、平成元年に防衛庁に入庁しまして、様々な部局、機関などで役人生活を送って参りましたが、防大での勤務は今回が初めてとなります。大変うれしく感じるとともに、身の引き締まる思いでおるところです。
 防大については、言うまでもなく、幹部自衛官となるべき者の教育訓練をつかさどる機関です。その任務は極めて明確であるとともに、防衛省・自衛隊にとって、極めて重要な任務を担っていることについては、論を待たないところであるかと思います。
 その一方で、防大がこのような任務をどの程度達成してきているか評価することについては、その特性上、なかなか難しいところがあるようにも思います。  しかしながら、小原台で学生の姿を見ておりますと、先人のご努力により、素晴らしい歴史と伝統を築かれてきていることを十分に感じることができますし、皆様方卒業生のご活躍により、各種世論調査において、自衛隊が最も信頼できる組織となっていることなどからも、多くの人が、防大は立派にその任務を果たしてきていると考えているのではないでしょうか。
 問題は、防大を取り巻く環境が目まぐるしく変化している中にあって、防大が、十分対応できているかということであろうかと思います。
 このような防大の在り方については、昨年度まで、國分前校長の下、「新たな高みプロジェクト」などによる校内検討が行われてきたところですが、現在は、防衛省として検討を行うため、「防衛大学校の充実・強化に関する調整部会」が立ち上げられ、久保校長が参加して、議論が行われております。
 この「調整部会」は、事務次官、統合幕僚長、陸・海・空幕僚長、人事教育局長などがメンバーとなっており、これまでに3回ほど開催されております。
 直近の第3回会合においては、「導入」として、防大側から「防大の人材育成の現状と課題」について説明するとともに、各自衛隊からの「防大の人材育成についての評価」、「防大卒業生に期待するもの」などについて示され、議論が行われたところです。
 第3回会合は、あくまでも「導入」であり、結論ではありませんし、表現ぶりにも差異はありましたが、総じて、防大において、昭和27年の創立以来、営々と培われてきた基本的な教育方針については、幹部自衛官としての礎を作り上げているという意味において、これまで十分な成果を上げてきているし、決して古びたものではなく、今後も引き続き有効であろうとの評価を得ていたのではないかと思います。
 しかしながら、防大の現状について決して良しとするものではなく、「三本柱(教育訓練、学生舎生活、校友会活動)」などについて、様々な、厳しく、有益なご指摘がありましたし、防大に求める人材(資質)についてのご提言などを頂いたところです。
 防大卒業生に求める資質としては、極めて概略的に申し上げれば、リーダーシップ、コミュニーケーション能力、職業意識(使命感)や責任感、幅広い思考力、発想・思考の柔軟性などについて、今後更に重視すべきであるとのことでした。
 また、教育訓練については、新領域など安全保障上の新たな課題への取組、部外との交流の推進、学生舎生活などについては、「自主自律」の実践、適切な学生指導体制・態勢の充実・強化、部外の専門的知見の活用など、様々な課題が示されました。 更には、このような課題を実現するためにも、また、大学としての防大の魅力化を図る上でも、生活・教育・研究環境の整備が重要であるとのご指摘がありました。
 このような課題については、社会環境などの変化に起因するところも大きく、他機関も同様のようには思いますが、防大については、社会からの入り口として、変化の影響をより大きく受けているように思います。
 防大においては、現在、鋭意、具体的な方策などについて検討を行っているところであり、内局、各幕などと緊密に連携を図りながら、来年度までには、「調整部会」として、一定の方向性を出していく予定になっております。
 具体的な方策については、必要に応じ、予算要求などを通じ実現されることとなりますが、できる限りに早期に実現するとの観点から、出来るものから進めており、来年度要求においても、第5学生舎の新設、浴場(女子)の増設、部外力を活用したメンタルヘルス対策の強化などが既に盛り込まれております。  防大同窓会の皆様方におかれましては、長年の自衛隊での経験を有するのみならず、外からの視点についても併せ持たれているところであり、本件につきましても、様々ご指導等頂ければ大変ありがたいと思っております。
 来年度の新入生は70期ですので、30年後の2052年の新入生は100期ということになります。丁度その頃、現在、防大に在校中の学生諸君は、それぞれの組織の重要なポジションにおいて奮闘しているのではないかと思います。
 私が30数年前に入庁した頃に比べ、現在の防衛省・自衛隊は随分大きく変わったように感じられますし、今後の変化は、更に大きなものとなるかもしれません。
 防大の充実・強化を検討するに当たっては、来年創立70周年を迎える防大の歴史と伝統を守りつつ、変化にしっかりと対応することが必要となるのみならず、30年以上先の将来にも目配りするような長期的な視野が必要なのではないかと改めて感じております。

 このような検討の一端に関与できますことを大変嬉しく思っておりますし、微力ではありますが、少しでも防大の充実・強化に貢献することができますよう、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、引き続き、皆様方のご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 

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