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同窓生は今

第63期生に聞く ~ 海自一般幹部候補生 ~

2019.12.07

「改革意識 "後輩諸君に伝えたいこと"」

海上自衛隊幹部候補生学校63kisei-kai-mori.png
 第1学生隊第2分隊
一般幹部候補生 海曹長

  森 春太郎

 防衛大学校を卒業し、期待に胸を膨らませながら、海上自衛隊幹部候補生学校(以下「候校」という。)に入校してから早くも、4か月という月日が経過しました。候校での生活は防衛大学校(以下「防大」という。)と違い、伝統的な海上自衛隊の風習や躾事項を取り入れているため、海上自衛官として勤務する実感をより身近に感じています。今回、候校第70期一般幹部候補生課程の防大第63期生を代表して、「小原台だより」に寄稿する機会を頂いたため、「価値観の共有」「伝統教育」「防大の後輩諸君へのメッセージ」について述べたいと思います。

 はじめに、「価値観の共有」について述べます。候校では、防大卒、一般大卒の学生や、部隊勤務経験がある部内出身者の学生等、様々な経歴を持つ学生が同じ環境下で、共に学び同じ部屋で生活しています。そのため意見交換の機会は日常的に多く存在します。一般大卒の学生の意見は、我々の防大生活で身に付いた、やや自衛隊寄りな思考に刺激を与えてくれるとともに、新たな価値観を生み出させてくれます。それは一般大卒の学生も同じであり、自衛隊を知らない彼等にとって、防大卒の学生の価値観は新鮮であり、候校で生活する上で非常に参考になるものです。意見交換や日常生活をとおして「価値観の共有」は深まり、お互いが成長できていると実感しています。今後とも互いに協力し、切磋琢磨していく所存です。

 次に、候校で行われている「伝統教育」について述べます。候校では、前身である海軍兵学校時代から伝統的に、様々な困難を乗り越える教育を実施しており、幹部自衛官を目指す我々には、日常生活の中で多くの課題や状況が付与されます。幹部海上自衛官の勤務は幹部陸上・航空自衛官と比較して海外を含む任務活動地域が多く、1回の任務における行動日数が長いという特徴があります。加えて、世界第6位の排他的経済水域を有する自国の海上防衛に従事することが求められることから、我々にはタフな精神力と旺盛な体力が求められています。
 候校で4か月間経過した現在、候校での教育は、我々に求められるタフな精神力と旺盛な体力の基盤構築に寄与していると感じています。加えて、幹部自衛官となる我々は、限られた環境や条件の中で現状を迅速に分析し、最善の選択をすることが求められます。この能力は突発的に身に付くものではなく、日常的な訓練により習得可能な能力、いわば、個人の経験値を表していると考えます。
 ただし、今後の勤務においては自身の予測しない事態が生起することが考えられます。そういった不測の事態に対して自分の経験値が多いほど、的確な判断を下すことが可能になると思います。私は今後とも、候校の教育を通じて最善の選択をする訓練を積み、指揮官に求められるタフな精神力と旺盛な体力の基盤を構築し、指揮官に求められる人格を形成していくことを目標としています。

 最後に、防大の後輩諸君へ伝えたいことは、「改革意識」を持って防大での生活を過ごすということです。ここで「改革意識」とは、学生個人における意識と、組織における意識の2つと位置づけます。組織における指揮官が現状維持という選択をすることは、それ以上の成長は望めず、組織の衰退に直接結び付きます。また、指揮官には、組織の現状を的確に分析し、独自の視点から捉える能力も求められます。
 防大での4年間は、将来幹部自衛官となる者としての人格形成や資質の涵養のため、校友会・教育訓練・勉学の3本柱に全力で取り組むことが求められていると思います。しかし、防大の生活をただ漫然と生活するだけでは、幹部自衛官としての人格形成や資質を涵養するには不十分です。私自身、防大において「改革意識」を持って生活することをあまり実践できておらず、現在になって防大時代に「改革意識」を持って生活することを意識していたならば、より有意義な時間を過ごすことができたと振り返ります。

 ここで、防大在学期間において、私が「改革意識」を持って取り組んだ具体例を紹介したいと思います。私は、防大4学年時に1大隊学生長として勤務しました。当時の1大隊の現状は、自分の大隊に対する帰属意識があまりなく、競技会での成績も決して良いと言えるものではありませんでした。そのような雰囲気が日常生活にも影響し、学生の服務態度について指導官から意見が挙がることも多々ありました。
 そこで私は、組織に対する帰属意識が弱い部分に原因があると捉えたため、対策として「1大隊向上委員会」という組織を設置しました。「1大隊向上委員会」とは、競技会とは別に1大隊特有の行事を計画、実施、評価することにより、1大隊の学生に帰属意識を芽生えさせるとともに、学生の発案によって実践できることが多く存在することを学生に伝えるという目的で設置しました。
 具体的な活動としましては、学科の教官の推薦映画鑑賞会の実施や本館勤務の方々や自衛官との意見交換会等、学生に対して新たな視点での行事を取り入れました。結果、1大隊の多くの学生が自発的に意見を述べる環境の形成に寄与し、感覚的な判断ではありますが、学生の帰属意識も以前よりは強まったと感じました。

 変革には多大な勇気と労力を要します。そして、自己の意見を持って行動に移した経験が大切であり、その機会が防大にはたくさんあります。自分1人で「改革意識」を持ち、行動することも良いとは思いますが、防大には多くの頼れる同期がいます。自身が考える「改革意識」について同期と共有するとともに、意見交換を実施する等の時間を持つことも貴重な機会になると思います。
 私たち63期一同は一足先に部隊で勤務し、日本の海上防衛に従事することとなります。今後とも皆さんの活躍を新天地にて楽しみに待ち、我々も日々精進していく次第であります。皆さんと海の上でともに勤務する期待に胸を膨らませ、互いに高め合い、己を磨いていきましょう。

(2019. 9. 23)
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