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同窓生は今

第63期生に聞く ~ 空自一般幹部候補生 ~

2019.12.07

「 後輩たちに伝えたいこと 」

航空自衛隊幹部候補生学校一般幹部候補生 空曹長 進大和候補生
 第1候補生隊第1区隊
一般幹部候補生 空曹長

  進 大和

 第64期以下の防衛大学校学生諸君、令和という新しい時代を迎え、それぞれの新しい学年はいかがでしょうか。1学年の皆さんは防衛大学校の生活にはもう慣れたでしょうか。学年が変わらなかった学生は、新しい同期にうまくとけ込めているでしょうか。勉学に訓練に校友会に学生舎生活、さらに各種競技会や開校記念祭の準備などに、日々一生懸命取り組まれていることと思います。
 現在、私は、奈良県所在の航空自衛隊幹部候補生学校で、航空自衛隊の幹部自衛官となるための素養の修得に励んでいます。今回、「後輩に伝えたいこと」と題して後輩諸君にメッセージを送る貴重な機会をいただいたので、防衛大学校を卒業して間もない今感じていることを伝えたいと思います。

 この文章の作成に当たり、まず自分の防衛大学校時代を振り返りました。すると、それぞれの学年で経験したことや、それに伴う様々な失敗が思い返されます。勉学においては、語学に力を入れていなかったことや専攻以外の読書などの自己研鑽を怠ったことを後悔しています。応用化学科と応用物理学科を間違えて選択したことも思い出されます(1学年は気を付けるように)。
 学生舎と校友会では、フォロワーとリーダーのどちらの立場も経験して、そのどちらでも悔いが残る部分があります。特にリーダーとしての経験は、もちろん手を抜いていたわけではありませんが、終わってみて気付くことが多々あります。後輩諸君もいずれ防衛大学校を卒業することになりますが、いざ卒業すると、「もっとあの時こうしていれば」と考えることは多少なりともあります。
 しかし、それと同時に、それぞれの立場に求められることや自己の性質について理解を深めることができ、そこから多くの教訓を得ることができました。後輩諸君も、防衛大学校での経験の一つ一つが自己の成長につながり、卒業後の自分を形成していることを感じることができると思います。
 この経験から「後輩に伝えたいこと」を考えると、英語学習、読書、体力練成をした方がいい等具体的な話も考えられますが、それらの重要性については防衛大学校生活の中で認識する機会があると思うため、今回は割愛します。校友会の後輩や学生舎運営で関わった後輩、同部屋だった後輩等それぞれに伝えたいことが多くありますが、今回は防衛大学校学生全体に伝えたいことを、全員に共通する学生舎生活の観点から述べます。

 学生舎生活や学生間指導に関しては、どの期別もそうなのかもしれませんが、私の4年間は変化の激しいものだったように感じます。その大きな要因は、防衛大学校の悪しき伝統といわれていたものが淘汰されたことにあると考えます。社会ではパワハラ問題が大きく取り上げられ、下級生と上級生が共同生活する防衛大学校においても、その防止や、学生のあるべき姿の追求のため様々な施策や教育が行われました。
 この変化によって今の学生舎が形成されていったわけですが、私はこのことについて疑問を抱えていました。それは、なぜ最近になるまで悪しき伝統が残っていたのかということです。学生舎生活は修練の場ではありますが、それには不必要で理不尽かつ危険ともいえる伝統が当然のように残っていました。なぜ現代では社会通念上到底認められないものが、職員の方々に着手されるまで学生の手で変えられなかったのでしょうか。かくいう私も、この時代でなければ、「学生舎とはこういうものだ」と思い悪しき伝統の一部を形成していたかもしれません。

 前記のとおり、防衛大学校はどの期別の時代でも変化を続けてきたと考えれば、諸先輩方が変えたものもあり、63期が変えたものもあり、指導官や本館の方々の手により変わった部分もあると思います。その変化はいつでもポジティブなものであったと思いますが、それにより失われるものもあります。
 私の4年間でいうと、探せば様々なものがあると思いますが、その中の一つに上級生の学生間指導への熱意が失われたことが挙げられます。学生間指導体制の改善が図られた際に、今まで学生が必要性を感じて行ってきた指導までもが無くされた、若しくは指導の実施に手続きが必要になり適時性が失われたことにこの原因があります。
 今までの学生間指導の指導者側の自由度が制限されたことにより、理不尽かつ不必要な指導は局限されましたが、同時に活発な指導への意欲が失われたのだと考えます。この失われたもの、私の期別までで生起した不都合等が、今後後輩たちが変えていくべきものの一部になり、防衛大学校はその繰り返しで進化していくのだと思います。

 そしてこのことから私が後輩たちに伝えたいことは、「君たちの手で防衛大学校を作り上げてほしい」ということです。これは、過ごしやすさや快適さの追求ではなく、防衛大学校生活における様々な活動について今の状態よりも改善できることを考え、その改善のための方策を模索し、実践してほしいということです。ここまでの学生舎生活の話の中で出た、上の期別から得た課題に取り組むこともその一つですし、既存の規則を改訂することも必要かもしれません。
 それに加え、新しいものの導入を考えることも必要だと思います。これは校友会活動においても全く同じことがいえます。おそらく、各長期勤務学生はいずれかには着手していることと思うので、各学生は良きフォロワーとなり、リーダーを支えてください。

 最後に、この際に注意してほしい点は、最初から変えることに固執しないことです。まずは学生の手による学生舎や校友会運営の地盤を固め、やるべきことができているか確認してほしいと思います。その地盤の上に、君たちが必要だと思うものを積み重ねていってください。君たちの努力が、さらに次世代の後輩たちの学生舎運営及び校友会運営等における指針となり、防衛大学校で得た知識と経験と仲間たちが、数十年後の自衛隊を動かす原動力となると思います。
 私のこの文章が少しでも何かの参考になれば幸いです。共に成長し再会できる日を楽しみにしています。

★幹部候補生学校での訓練風景(60km徒歩行進訓練)

(2019. 9. 30)
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