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会長ルーム・活動録

防衛大学校同窓会長からのご挨拶(2019年度)

2019.04.06

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 防衛大学校同窓会の皆様、こんにちは。私は、本年4月、杉本前会長からバトンタッチを受け、防大同窓会会長を拝命しました岩﨑 茂(第19期、航空要員、航空工学、グライダー部、岩手県出身)です。若輩であり僭越ですが防大同窓会の為に尽力する所存です。宜しくお願い申し上げます。
 さて、防大では、本年3月には第63期生が卒業し、4月には第67期生が入校しました。私が防大に入校しましたのは、1971年(昭和46年)です。当時、防大には日清・日露戦争の事を時々言われる旧軍出身の指導官がおられました。日露戦争は既に67年も前であり、私達にとって「かなり前の戦争」との思いがありました。多分、今の新入生にとっては「先の大戦」とはどの戦争の事か分からず、遥か遠くの事と感じている事でしょうし、防大創設もかなり前の事であり、遠い昔と感じているのではと思います。我が防衛大学校も旧軍と並ぶような歴史を刻んできております。
 本年の卒業式には、既に定着しておりますホーム・カミング・デー(HCD)に第20期生がご招待され、卒業式で昨年同様、自衛隊の最高指揮官である安倍総理から、第63期生には卒業のお祝いと幹部自衛官としての激励、そして第20期生には永年の自衛隊での勤務に対する労いのお言葉を頂いております。
 また、入校式には、入校から60年経過した卒業生をご招待するホーム・カミング・デー2(HCD2:2016年開始)が行われ、第7期の方々が奥様やご家族とともに招待されました。そして入校式の一連の行事終了後、横須賀市で第7期生同窓会懇親会が盛大に行われました。私も家内とともにご招待を受け懇親会に参加させて頂きましたが、皆様全く年齢を感じさせず若々しく、姿勢も正しく、お元気な様子であり、只々感心させられた次第です。今回のHCD2は、第4回目でしたが、私自身はこれまで3回ほどHCD2を拝見させて頂きました。それらを通じ、HCD2を開始するにあたっての不安(先輩方々には大変失礼なのですが、「少なくても78歳前後のご高齢」である事への不安)など微塵も感じさせない諸先輩のお元気な姿を拝見し、この事業が同窓会行事として有意義であることを確信するとともに、諸先輩から逆に叱咤激励を受けました。このHCD2もHCDとともに防大及び同窓会の大きな行事として定着しつつあることを実感しております。
 防大同窓会の会員数は、昨年、2万5千名を越え、退官されたOB数も現役自衛官数を越えるなど、同窓会として益々、円熟味を増してきております。
 一方、本年3月の防大同窓会代議員会の終了後に、防大第1期生の期生会長である深山様から本年5月には第1期は期生会としての組織的な活動に終止符を打つことが報告されました。防大同窓会も一つの節目の時期を迎えていることを感じております。
 また、防大自身もこれまで多くの方々の御努力により益々充実した素晴らしい大学校となってきております。特に、國分良成学校長をお迎えした以降、「新たな高み」プロジェクトを掲げ、更なる改革に挑戦しております。これまでの学生の自主自律精神をより進展させるとともに、国際交流センター設立、グローバル・セキュリティ・センター立ち上げ、先端学術推進機構の新設等々、時代の変化に応じた組織の改編も進めており、正に所謂「世界に誇る士官学校」となりつつあります。
 最近は、多くの防大生がいろいろな国々に留学(長期・短期)し、国際的視野を広げつつ国際交流の拡大や信頼醸成にも貢献しております。また、中には留学先でかなり優秀な成績を上げる学生も多く出てきています。昨年、米国の士官学校に留学した学生が1学期間(1セメスター;約4ヶ月)で学年最優秀の評価を受けました。
 この様に、防大も時代の変革に適応できる幹部自衛官の育成機関として発展してきておりますし、学生も世界の士官候補生に負けない優秀な学生が育ってきております。正にわが母校防大は世界に誇る士官学校となってきております。
 私は、全国各地で講演をしておりますが、時々「我が国の自衛隊のレベルは?」と質問されることが度々あります。その場合、私は胸を張って「我が国の自衛官は極めて優秀ですし、自衛隊は超一流です。」と答えます。
 近年、自衛隊では国外での任務や訓練等いろいろな活動が多くなってきております。また、訓練や交流も同盟国の米国とのみならずいろいろな国々と行われております。この様な国際的な活動の場面においても、自衛隊の隊員は外国軍人と全く遜色ありませんし、私は寧ろ優秀と感じております。自衛隊の隊員の中心は幹部自衛官ですが、その中でも防大出身幹部の果たす役割が大きいと感じております。
 この事は我が国の統合運用にも大きく貢献しております。2002年12月に統合運用を基本とする態勢へ移行することの必要性をとりまとめた成果報告書が防衛庁長官(当時)に報告され、2006年3月27日に防衛庁(当時)・自衛隊では統合運用体制に移行し、統合幕僚長が自衛隊の運用に関する軍事専門的観点からの防衛庁長官の補佐を一元的に行うことになりました。
 我が国の統合運用は他国に比較しその歴史が浅いのですが、時折、統合運用の大先輩である米国や英国から「どうして日本の統合運用は円滑に進むのだろう?」と言われることがあります。
 これにはいろいろな要因があると思います。長い間、私達が米軍から教えて貰ったことも大きな理由かも知れませんが、私は「防大効果」だと確信しています。統合運用が期待以上に進化している最大の要因は、防大の存在であり、防大卒の自衛官のお蔭と考えております。防大以外の幹部もいつの間にかこの活動の中に溶け込み、一体となって活動をしています。この中心的役割を担っているのが防大出身幹部であり、私は「防大効果」と言っても過言ではないと考えております。
 防大同窓会も創設から約60年を迎えます。防大同窓会の目的は防大や防大生を側面から支援することであり、また、会員相互の親睦、融和・団結です。この事を基本としつつ、新しい時代の流れに沿うような活動を模索しつつ前進することが必要と考えております。当然のことながら、同窓会の活動は会員皆様のご支援ご協力がなければできるものではありません。
 我々同窓会役員一同は、会員皆様方のご意見に耳を傾けつつ尽力する所存です。会員皆様方におかれましても、同窓会へのご支援を引き続き賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。