防衛大学校関連

新幹事に聞く

2020.11.25

 「小原台の今 ~ コロナ禍と学生、そして将来に向けて ~」

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防衛大学校幹事

 陸将  梶原 直樹 (32期・陸上)

はじめに

 本年8月25日付で第52代幹事を拝命いたしました、本科第32期生の梶原です。本科卒業後、まだ3等陸尉だった頃、研修生として短い間お世話になって以来、約30年ぶりの小原台になります。将来、自衛隊の中核を担うであろう学生を目の前にすると、自然と背筋が伸びる感じを覚えますし、若き日の自らの成長を見守ってくれた母校に対して、何か自分にできることはないかとの思いを深める毎日です。微力ながら努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  この度は、寄稿の機会をいただきましたので、小原台の近況として、新型コロナウィルスへの対応と将来に向けた取り組みについてご紹介させていただきます。

コロナ禍における学生の状況

 はじめにお伝えしておきたいのは、コロナ禍の制約の中においても、学生たちは日々前向きに過ごしているということです。もちろん、今日に至るまでには、学校全体としても様々な課題に直面し、試行錯誤しながら前に進んできたというのが実情と思います。しかしながら、現時点においては概ね落ち着いた環境の中、校務が運営されていると思います。 また、現時点において、新型コロナウィルス感染が校内で発症した例は一つもありません。これは、学生が自覚ある行動を心掛けている証左と言えるでしょう。

 それではまず、コロナ禍が開校記念祭に及ぼした影響についてご紹介します。 残念ながら、令和2年度の開校記念「祭」は中止となり、開校記念「行事」として実施されることとなりました。すなわち、部内外のご来賓や一般の来場者をお招きせず、校内行事として観閲式等一部のみを実施するというものです。これに伴い、開校祭を機に母校訪問を楽しみにされていた卒業生、特にホームビジットデーにあたっていた44期生の皆様には、せっかくの機会がなくなってしまい、申し訳なく思います。
  また、棒倒しについては、学生はもちろん学校長以下の職員も、なんとか実施できるよう様々に検討・調整を尽くしましたが、最終的には、感染リスクをコントロールできる合理的な対策が難しいとの判断から、中止という結論に至りました。近年ネット配信され、毎年楽しみにしていらっしゃる方も多い「開校祭の華」であり、何よりも学生にとっての貴重な成長の場である棒倒しが実施できないことは、私自身、非常に残念に思っているところです。

 次は、コロナ禍における学生の日常についてご紹介します。一言で言えば、緊急事態宣言発令当時に比べ、学生の毎日はかなり落ち着いたものになっています。以下、いわゆる三本柱(学業、校友会活動及び学生舎生活)の順で述べます。

  まず、学業についてですが、一般の大学ではまだ多くの授業がリモートで実施されている中、防大では基本的にはすべての授業が対面形式で行われています。もちろん、マスクの着用や着席位置の指定・分散、換気の確保といった対応はしっかりと取られています。本館の幹事室からは、毎朝、マスク姿の学生が課業行進で教場に向かう姿を目にすることができます。訓練についても、実施要領を工夫して感染防止の処置をとりつつ、要すれば計画を修正して実施されています。
  校友会活動については、入浴や食事における「密」をできる限り避ける観点から、運動部を大きく2つのグループに区分し、それぞれのグループを互い違いの曜日に活動させるようにしています。毎日でも活動したいと思っている熱心な学生にとっては、ややストレスの溜まる状況かもしれません。対外試合は、それぞれの競技団体の方針に沿って逐次再開されており、近いうちに、各部のOB会などを通じて成果が伝えられるものと思います。生活面における最大の変化は、一斉喫食の取り止めだと思います。学生食堂に2,000名が集まる昼食風景は防大ならではのものですが、現在は「密」を避けるため自由喫食になっています。午前中の授業を終えた学生は、三々五々食堂を訪れて食事を済ませていきます。昼休みの時間的余裕ができるのは、学生にとってはうれしいことかもしれません。
  学生舎生活全般については、日夕点呼が、中隊の全小隊を中央ホールに集める形から、各部屋前の廊下に整列させて小隊ごとに把握する形に変更されているほか、大きな変化はないようです。ただし、外出についてはまだ制限されている部分が多く、外出先や行動予定の事前申告が求められていたり、特別外出(外泊)が認められていなかったりしています。(特別外出については、近いうちに緩和される方向で検討が進められているようです。)

 以上のように、学生たちはコロナ禍においても元気に過ごしていますが、様々なストレスを受けていることは確かであり、今後も学生の士気を高めるべく、善導に努めていきたいと思います。

将来に向けた取り組み

 さて、最後に、将来に向けた防大の取り組みの現状について、簡単にご紹介したいと思います。現在、國分学校長のイニシアティブの下、「さらなる高みプロジェクト」による校内検討が実施されています。これまでに、開校100周年(2052年)に向けた防大の在り方として、「防大ビジョン(100年ビジョン)」がまとめられました。同ビジョンは、防大は今後とも「自衛隊のリーダーを育てる日本唯一の最高学府」として、「世界一の士官学校」を目標に、「知・徳・体の調和のとれた人材を育成する」とし、目指すべき人物像として、

  • 『国際社会の平和と安全に寄与する国際感覚豊かで幅広く多角的な視野を持った人材』
  • 『自主自律の精神と日本的美徳を身につけた使命感と倫理観にあふれる人材』
  • 『最新の学問研究を学び、バランスの取れた科学的思考とテクノロジーを理解する能力を備えた伸展性のある人材』

の三つを掲げています。今後は、同ビジョンを具現すべく、「知・徳・体」の向上、先端科学技術への対応、基礎教育の充実、新たな防衛学・訓練の体系などの視点から検討を深めていく予定です。
 一方、重要なのは、こうした校内の議論を校外に発信し、防大の現状や課題を広く認識していただいた上で、防大の在り方をめぐる防衛省内の議論を活性化し、具体的な成果につなげていくことです。幸い、省内においてそのような議論の場が設定される動きもあり、この機会を逃さぬよう積極的に取り組んでまいります。

おわりに

 小原台に戻って早くも二か月が経とうとしています。母校、そして現在と将来の学生のために自分は何をすべきか、何ができるか、自問自答しながら勤務してまいります。皆様のご指導とご鞭撻を重ねてお願い申し上げます。

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