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お知らせ

「同期生紹介」(13)(陸)嶋田功成君~「書道と私」~

2023.12.30

(陸)嶋田功成君(電気3班、第5大隊)は先日の北斗会ホームページで紹介したとおり、書道を趣味に産経国際書展に度々入選するなど退官後充実した日常を送られています。今回は嶋田君を紹介いたします。

嶋田君のこと   杉田明傑

嶋田功成君は幹候卒業後、野戦特科幹部として当時は対ソ第1線の帯広第5師団に赴任しました。そこで今はない105ミリ榴弾砲を装備した部隊の中隊長までを勤務された後、師団司令部3部勤務に抜擢されました。部長は幹候時代の区隊長藤井嘉文教官であったといいますから奇遇といいましょうか。幹部学校在校前後を富士学校で勤務されたのが部隊勤務の最後で、以降は統幕2室、中央資料隊、衛生学校等で情報や総務関係の業務に専念されました。

退職後は総務業務の経験が買われてJA共済に再就職され一般社会でも存分の活躍をされたと聞いています。嶋田君が温厚誠実で回りの信頼を得てきましたことは、7期生会の会計理事を最長の5年間も務めていただいていることからもよく理解できるところです。しかし、奥様に誘われて62歳から始めた書道が産経国際書展で入賞し宮様臨席の場で表彰までされていることは、お聞きするまでは誰も知らなかったのではないでしょうか。物事を始めるのに遅すぎることはないと言いますがまさにそれを地で行く例を示してくれていると思います。

「書は人なり」という格言がありますが、嶋田君の書は堂々として迷わない落ち着きと風格を表しているように小生には見えます。書かれている漢詩の深淵な意味もまた、理解し表現に努められているせいでしょうか。奥様ともども同じ道を精進されておられることに、羨ましくもありまた元気付けられます。報道によれば、「書道」が国連教育文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される運びとなったとか。日本文化の一翼を担われて益々のご活躍を同期生一同祈念したいと思います。

   第36回産経国際書展 贈賞式.jpg 第32回産経国際書展 出品作品.jpg        


「書道と私」     (陸)嶋田功成

 

1、書道を始めた経緯について

(1) 在職中の私は仕事中心の生活で、趣味はと聞かれたら「読書」と答えるくらいで何も持っていなかった。

(2) 40代初めに体調を崩して鬱病となりそれから十数年間闘病を経験した。

(3) すべての職を終えてからその後どうやって生きて行こうかと「鬱病再発の不安」とともに悩んだ。

2、離職後の趣味について

上記の為に62歳から書道と詩吟を始め約20年になる。書は当時すでに妻が勉強しており薦めてくれた。詩吟は小学校の時に一時習ったこともあり、また自衛隊生活でもたまに吟じていたので習ってみようと思った。

3、書道教室

 当初は市の老人福祉センターに教室があったのでそこで習い始めた。4~5年後に当時産経国際書会の常任顧問であった教室の講師に師事し以後その会に所属している。

4、主な活動

(1)某書道会に所属し社中選抜展に出品

(2)市美術展に数回出品

(3)産経国際書展に毎年連続14回出品 

5、現在の資格

  書道師範

  産経国際書会無鑑査会員(令和2年より)

6、その他

(1)現在妻も同じ書道会に所属し、お互い日々研鑽ほぼ毎日稽古しています。

(2)詩吟活動も現在継続している。

(3)お陰で何とか健康を維持している。

~書道を通じての所感~

1、書を始めるにあたって

当初は書道教室等で基本から習うことが大事です。私の場合は市の老人 福祉センターで実施していた教室でした、そこで10年以上月に3~4回 初歩から習いました。その後個人指導を受けています。

2、作品制作と書展への出品

基礎の勉強から数年後並行して作品作りを始めました。初めは先生のお手本により条幅の練習を始めます。毎回の教室に書いて行き指導受けます。これにも何年もかかりますが、そのうちに自分の技量に合った書展に出品します。

私の場合は市美術展でした。

その後現在まで、毎年出品しているのが産 経国際書展の本展(夏) 新春展 (1月)です。当初は酷評等された事もあ りましたが、入選更に入賞したりしますとその後の励みにもなりました。

3、 書道を続けるに当って注意していること

(1) 先生の指導を受けることが大事です。今でも作品等が真っ赤になるほ ど指導を受けております。一生涯続くと覚悟しています。

(2) 日常の稽古は古典の臨書や書会の月例課題等を中心にしています。

(3) 他人の書を見ること、そして書展等を見に行くこと。

その為某書会に所属しています。家内も同じ書会に所属していますので毎月の競書作品は同じものを書いています。相互に批評し合っています。また、書展を見に行く事は書を見る目を養うことに役立ちますので 必ず行く事にしております。

(4) 毎日筆を持つ事を習慣とすること

私の書道の稽古する時間帯は他の活動や日々の雑用もありますので早朝に当てています。そう言う時間を作っておけば毎日筆を持てます。


「産経国際書展 出品作品集」

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★第27回産経国際書展 本展出品作品 ★第27回産経国際書展 新春展出品作品 ★第28回産経国際書展 本展出品作品 ★第29回産経国際書展 本展出品作品 ★第29回産経国際書展 新春展出品作品

1 第27回産経国際書展 本展 公募初出品「詠宣州筆」耿湋(2010.7)

  「寒竹漸虛受 纖毫任幾重 影端緣守直 心勁嬾藏鋒
   紙驚風起 搖空浥露濃 丹青與紀事 捨此復何從」

2 第27回産経国際書展 新春展 奨励賞「種桃杏」白居易(2011.1)

  「無論海角與天涯 大抵心安即是家 路遠誰能念鄉曲
   年深兼欲忘京華 忠州且作三年計 種杏栽桃擬待花」

3 第28回産経国際書展 本展 公募入選「漁翁」柳宗元(2011.7)

  「漁翁夜傍西巖宿 曉汲清湘燃楚竹
   煙銷日出不見人 欸乃一聲山水綠
   看天際下中流 巖上無心雲相逐」

4 第29回産経国際書展 本展 公募秀作「秋懐」韓愈詩(2012.7)

  「白露下百草 蕭蘭共雕悴 青青四牆下 已復生滿地
   寒蟬暫寂寞 蟋蟀鳴自恣 運行無窮期 稟受気苦異
   適時各得所 松柏不必貴」

5 第29回産経国際書展 新春展 奨励賞「示児」韓愈詩(2013.2)

  「中堂高且新 四時登牢蔬 前榮饌賓親 冠婚之所於
   庭內無所有 高樹八九株 有藤婁絡之 春華夏陰敷」

 

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★第30回産経国際書展 本展出品作品 ★第32回産経国際書展 本展出品作品 ★第33回産経国際書展 本展出品作品 ★第34回産経国際書展 本展出品作品 ★第35回産経国際書展 本展出品作品

6 第30回産経国際書展 本展 公募入選「夏五月武昌舟中觸目」掲傒斯(2013.7)

  「兩髯背立鳴雙櫓 短蓑開合滄江雨 青山如龍入雲去 白髮何人並沙語
   船頭放歌船尾和 篷上雨鳴篷下坐 推篷不省是何鄉 但見雙雙白鷗過」

7 第32回産経国際書展 本展 会友作品「江村晩眺」戴復古(2015.7)

  「江頭落日照平沙 潮退漁船閣岸斜 白鳥一雙臨水立 見人驚起入蘆花」

8 第33回産経国際書展 本展 会友作品「獄中有感」西郷南洲(2016.7)

  「朝蒙恩遇夕焚抗 人生浮沈似晦明 縦不回光葵向日 若無開運意推誠
   洛陽知己皆為鬼 南嶼俘囚独窃生 生死何疑天附与 願留魂魄護皇城」

9 第34回産経国際書展 本展 会友作品「田居」山梨稲川(2017.7)

  「結廬在窮巷 而無城市塵 守拙無餘事
   晨服桑麻勤 悠悠山澤際 屢與老農親
   日入歸田廬 獨自掩荆榛 時復弄琴書
   解顏招近隣 酌我新熟酒 瞻望還岫雲
   人生苟一醉 胡論貴與貧」

10 第35回産経国際書展 本展 会友作品「大楠公」河野天籟(2018.7)

  「赤坂之城千窟屯 妖雲漠漠捲天臻
   夢新笠置山頭曉 花散香薰芳野春
   呑涙別兒櫻井驛 笑而就死湊川津
   南風不競雖塗地 偉績長傳忠烈神」

 

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★第36回産経国際書展本展<br />出品作品(その1) ★第36回産経国際書展本展<br />出品作品(その2) ★第37回産経国際書展<br />本展出品作品 ★第38回産経国際書展<br />本展出品作品

11 第36回産経国際書展 本展 会友奨励賞「月夜」杜甫(2019.7)

  「今夜鄜州月 閨中只獨看 遙憐小兒女 未解憶長安
   香霧雲鬢濕 清輝玉臂寒 何時倚虚幌 雙照淚痕乾」

12 第36回産経国際書展 本展 会友作品「送元二使安西」王維(2019.7)

  「渭城朝雨浥軽塵 客舍青青柳色新 勸君更尽一杯酒 西出陽關無故人」

13 第37回産経国際書展 本展 無鑑査出品作品 「述懐」魏徴(2020.7)

  「中原還逐鹿 投筆事戎軒 縱橫計不就 慷慨志猶存
   杖策謁天子 驅馬出關門 請纓繋南粤 憑軾下東藩
   鬱紆陟高岫 出沒望平原 古木鳴寒鳥 空山啼夜猿
   既傷千里目 還驚九折魂 豈不憚艱險 深懷國士恩
   季布無二諾 侯嬴重一言 人生感意氣 功名誰復論」

14 第38回産経国際書展 本展 無鑑査出品作品 「西山」常建(2021.7)

  「一身爲輕舟 落日西山際 常隨去帆影 遠接長天勢
   物象歸除清 林巒分夕麗 亭亭碧流暗 日入孤霞繼
   洲渚遠陰映 湖雲尚明霽 林昏楚色來 岸遠荊門閉
   至夜轉清迵 蕭蕭北風厲 沙邊雁鷺泊 宿處蒹葭蔽
   圓月逗前補 孤琴又搖曳 冷然夜遂深 白露沾人袂」

 

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★第38回産経国際書展<br />新春展出品作品 ★第39回産経国際書展<br />本展出品作品 ★第39回産経国際書展<br />新春展出品作品 ★第40回産経国際書展<br />本展出品作品

15 第38回産経国際書展 新春展 無鑑査出品作品 「旅夜書懐」杜甫(2022.1)

  「細草微風岸 危檣獨夜舟 星隨平野闊
   月湧大江流 名豈文章著 官因老病休
   飄飄何所似 天地一沙鷗」

16 第39回産経国際書展 本展 無鑑査出品作品 「咸陽城東樓」許渾(2022.8)

  「一上高城萬里愁 蒹葭楊柳似汀洲 溪雲初起日沒閣  山雨欲來風滿樓
   鳥下綠蕪秦苑夕 蟬鳴黃葉漢宮秋 行人莫問當年事  故國東來渭水流」

17 第39回産経国際書展 新春展 無鑑査出品作品 「哭晁卿衡」李白(2023.1)

  「日本晁卿辞帝都 征帆一片遶蓬壺 明月不帰沈碧海 白雲愁色満蒼梧」

18 第40回産経国際書展 本展 無鑑査出品作品 「贈鮮干伯機」劉祁(2023.8)

  「憶昔逢君北渚秋 藕花香裏酔輕舟 三年ー別空囘首 千里相思更倚樓
   明月不随春物老 碧山長帯暮雲愁 天平松竹黄華水 早晩柴車得共遊」

 

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