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お知らせ

「同期生紹介」(2) ~ (陸) 川床剛士君の定年後の活躍について(知覧特攻平和会館の語り部として)~

2022.06.14

川床剛士君(土木11班、2大隊)は定年退官後、知覧特攻平和会館の語り部として2000年9月から同平和会館に奉職、以後特攻隊員にかかわる語り部として地域の発展と同館に来館される国内外の方々に特攻についての講話を担当するなど現在も活躍中です。杉田君から同君の定年退官後の活躍について投稿がありましたので紹介します。

~川床剛士君のこと~ (東部支部陸部会長 杉田明傑)

知覧において特攻隊の語り部を22年も続けている川床君のことを知らない同期生はいないと思いますが、ホームページの同期生紹介にはどうしても取り上げなければならない人物と思い今回改めてご紹介する次第です。川床君は鹿児島県出身、土木11班、校友会は銃剣道部に所属していました。陸上自衛隊では野戦特科幹部として部隊や学校に勤務し指揮官や幕僚、教官などを歴任されました。 退職後、彼の人柄見識が買われて地元役場からの要請により、知覧特攻平和会館に奉職することになりました。特攻隊の語り部は来訪者に戦争の知識や歴史を教えるだけでなく、特攻隊員たちの崇高な心を伝える場であることを考えますと、ご尊父を戦争で亡くされ、地元出身で永年国の防衛に邁進した幹部自衛官であった彼ほど適任者はいないと言っても過言ではないでしょう。私も彼とは同じ職種でしたので幹部学校等で机を並べました。剛毅朴訥、一本筋が通っていながら内心に温かいものを持った好漢で、この職を使命感をもって引き受けたという彼の言葉通り天職と言っても過言ではないと思います。

平和会館正面入口.jpgのサムネイル画像 特攻銅像.jpg IMG_0048.jpg

会館には老若男女大勢の来館者があるだけではなく、内外の雑誌やTVの取材も多いと聞きます。ウクライナ・ジェンさん.jpgその一つに昨年夏、ウクライナの女性記者の取材がTV東京系の「youは何しに日本へ」で全国放送されたと聞きました。ウクライナにおいてもこの取材に基づき特攻隊のことが放送されたことは間違いないでしょう。今次戦争でウクライナ軍が戦況厳しい中、敢闘している要因の一つに特攻隊の献身的かつ勇気ある心が活かされているとしたら語り部の冥利につきるところであり、また英霊の供養にもなりましょう。同女性記者が川床君の英文労作「The Mind of Kamikaze」(約200ページ、概要はHP)を手にした写真があります。(同じくHP)                              この度、同期生紹介を持ちかけた時、彼は「一隅を照らす」と謙遜の言葉を返しIMG_0224-1.JPGてきましたが、国内はもとよりこの著作を通じて知覧から世界を照らしているのであり改めて敬意を表する次第です。そして今後も特攻隊を広く知っていただくと同時に、隊員が今生最後のひと時を過ごした知覧に静謐さと尊崇の念がいつまでも残るよう願うものです。 (川床君の手記を添付します。)               


「特攻の語り部として想うこと」   (川床剛士)(2022.05.24)

縁あって、かつて沖縄の特攻作戦で多くの特攻隊員が出撃された基地跡に建てられた『知覧特攻平和会館』で、語り部の業務をするようになって22年になります。来館される国内外の方々に特攻について講話を担当しています。『知覧特攻平和会館』は、南九州市が年中無休で運営しているミュージアムです。

知覧飛行場全景-1.jpg  修学旅行生への講話風景.jpg

この年で、若い職員や戦後生まれの語り部の皆さんと共に働けることは大変有難く、日々感謝しながら奉職させていただいております。                                     平和会館では、沖縄特攻作戦で散華された陸軍の特攻隊員1,036名の遺品や関連の資料を展示し、英霊の慰霊顕彰に努めています。特攻隊員の構成は、国民学校高等科を卒業し14~15歳から所定の教育・訓練を受けパイロットになった『少年飛行兵』が3割強を占め、学徒動員政策で大学を早めに卒業してパイロットになった『特別操縦見習士官』と合わせると、6割方が17歳から20歳前後、平均年齢が21.6歳という若い集団でした。特攻隊員としての能力発揮は、操縦技術のスキル以上に幼少の頃から育まれた心の強さ、『使命感』に負うところが大きかったのではないかと、私は考えています。                      語り部として、隊員の遺書や手紙などの内容を、只単に物や知識として表面的に語るのではなく、当時にタイムスリップして、その奥にある心や哲学を伝える拘りこだわりを大切にしているところです。観光客など一般の方々には、限られた時間内で遺書・手紙を中心に講話していますが、『特攻から何かを学びたい』と目的をもって来館される方々へは、特攻の歴史背景や隊員の死生観、特に死生観に至った経緯なども含め解説しているところです。                                             残念なことに、戦後の歴史教育は教科書を含め自虐史観に覆われた環境下で実施されてきたため、来館者の多くは、日本人としての健全な歴史観は未熟です。ともすると、現在の価値観で隊員の遺書・手紙を理解し、単に「可哀そうに!」という感情論で終わってしまい勝ちです。                     今の日本があるのは、近代史・現代史に因るところが大きいことから、これらを踏まえてお話をすると、「ようやく、分かりました!」と開眼し、これがきっかけで歴史だけでなく、儒教や武士道など特攻隊員の死生観に関わる背景についても学び始める方もいます。先の大戦だけでなく、特攻も忘れ去られる時代になっています。戦争・特攻を美化することなく史実として正しく後世に伝えていく、またその後継者を育てていくことも語り部の重要な使命ではないかと思う昨今です。                           来館者との出会いは、一期一会になるかもしれません。受講者の方々には、何か『心の糧』になるものを吸収していただけるよう、これからも一層『心に響く語り』の実践に努めて参りたいと思っています。     同期生各位におかれましては、一層心身の健康に配慮し心豊かに過ごされますよう、皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。                                       PS: 知覧特攻平和会館について詳しくはホームページをご覧ください。

知覧特攻平和会館のホームページはこちら⇒知覧特攻平和会館

川床君の編集した「The Mind of The Kamikaze」(2017.04.01発刊)

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月刊誌「致知」2019年8月号特集「後世に残したいこと」

~知覧からのメッセージ「特攻隊の若者たちが残したもの」~(川床君が執筆)

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