お知らせ

終活と箪笥

2018.12.10

 我が家には古色蒼然とした桐箪笥がありました。

 これは私の生まれ故郷の名古屋で叔母が生前使用していたものです。当時私は自衛官と言う転勤族の最たる者で、家庭内の家具と言えば簡単な収納箱と手作りの本棚・洗面台・食卓・子供の玩具箱等のみで、箪笥と謂うものがありませんでした。叔母の葬儀にあたり集まった兄弟を含む親族はしっかりとした居を構え古びた家具など見向きもしない様子でしたので、これは良い案配と写真の箪笥と茶箪笥を頂いて帰り、長年我が家の収納家具として活用してきました。

     箪笥150.jpg   苔写真150.jpg   苔経理150.jpg  

 しかし終活作業を進める上で、箪笥に収納する価値ある紋付き袴等の着物があるわけで無く整理を考えていた折、娘が是非欲しいと言い出し渡りに舟とばかりに送り付けることとしました。しかし考えてみると娘にも孫にもおよそ着物と謂う物を買い当てた覚えがなく、はてな?と思い娘にそれとなく聞いてみたところ、びっくり仰天「苔を入れる」とのこと

 娘はかねてから秩父・高尾などの山の苔に興味を持ってをり、写真のような苔を採集、整理、分類体系化していましたが、その保管場所を考えていた矢先この話。

 箪笥も三代に亘り使ってやることが出来、写真のように苔を整理して使ってもらえるのも箪笥にとっても幸せかと、つくづく思っている昨今です。

                                         文責 高橋秀男

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