同窓生は今

第60期生に聞く(その2)

2017.01.06

題名:「信頼される指揮官」   60-2-1.jpg

 第4候補生隊第5区隊

 幹部候補生陸曹長 戸髙 陸

 

 現在、陸上自衛隊幹部候補生学校第97期一般幹部候補生(BU)課程に入校中の防衛大学校本科第60期卒業生、戸髙候補生です。

 私たちの入校を歓迎するかのように、桜咲き乱れる前川原の地に足を踏み入れた3月29日から早くも8ヶ月が過ぎました。毎日、様々な失敗を繰り返しながら、怒涛のように過ぎ去る日々を同期と団結し乗り越えてきました。入校当初の候補生代表の挨拶において「これから一人では乗り越えられないような困難が待っているかもしれないが、同期と力を合わせることで乗り越えていきたい」と述べましたが、正に幹部候補生学校ではそういった困難の連続でした。各種検定、野営訓練や総合訓練等、自分ひとりでは成し遂げられないものばかりでした。しかし、同期で励まし、助け合い、時には衝突をしながら切磋琢磨し状況を打破してきました。このように幹部候補生学校においては周りを見渡せば頼りになる同期がいます。しかしながら、幹部候補生学校を卒業し部隊に幹部として着隊すればほぼ皆無といっていいほど近くに同期はいません。そんな中でも指揮官・幕僚としての任を全うするために何が必要なのか、この8ヶ月間で得た自分なりの結論を述べさせて頂きます。
 陸上自衛隊は組織で任務を遂行します。ここで一番重要になってくるのは周囲からの信頼だと考えます。隊員一人ひとりが自己中心的な考えを捨てて組織の為に犠牲を払うといった精神を持って任務に当たらなければその完遂は厳しいものとなります。そういった部隊団結の核心になるのは誰か。それは、我々が幹部候補生学校卒業後に任命される幹部です。国の存亡の掛かった任務は勿論、日ごろの訓練や隊務運営等において幹部は組織がより精強化するように優れた統率を発揮していかなければなりません。統率とは指揮・管理・統御からなり指揮官に必要な能力です。統率の中で最も難しく重要なものは統御だと私は考えます。指揮・管理を確実に行って部隊を効率的且つ機能的に運用することは実力を行使して国を守る組織として必須であると考えます。しかし、部隊は物ではありません。隊員一人ひとりを掌握し、信頼される指揮官でなければ隊員はついてこないと考えます。良好な統御がなければ、平時においては教育訓練を行っても十分な成果を得られず、日常の業務においても支障をきたす可能性を拭えません。ましてや有事の際には自分の命が掛かっている状況です。日頃から信頼関係を構築していないと指揮官に自分の命を託して命令に従うことは難しいと考えます。11月7日から12月7日の間、各候補生は全国各地の駐屯地において普通科隊付教育を受けました。その中で様々な幹部を見聞きしました。部下がどのような状況にあるかよく掌握もせずに自分勝手な命令を出す幹部。指揮官として最も重要な企図の明示をしない幹部。こういった部下の信頼をあまり得られていない幹部もいる一方、自分の理想とする幹部像を体現されている方々も多くいました。幹部として自分を犠牲にして仕事をする中においても、体力向上に余念がなく、人一倍努力をしていました。そんな姿をおくびにも出さず勿論、愚痴も零しませんでした。こういった姿を隊員はしっかり見ており、隊員の方々と一緒に食事をした際にはその方に対する信頼や尊敬の声を多く耳にしました。
 幹部はやはり、自分のことを犠牲にして隊員、部隊の事を考えられる人でなければならないと私は考えます。そのためには今後、幹部とは部隊でどうあるべきなのかを教育訓練の中で常に考えながら体現していく必要があります。幹部候補生学校での生活は残り2ヶ月と短いですが、指導部の指導を真摯に受け止めるとともに、同期と切磋琢磨しあい、理想の幹部像に少しでも近づけるように精進していくことを決意して結びとさせて頂きます。

【訓練風景】

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