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防大講話録・投稿論文

平成28年度防大代議員会記念講演(丸谷元氏)

2017.07.03

【在外邦人救出に立ちはだかる課題】
(一般社団法人日本戦略フォーラム 政策提言委員 丸谷元人先生)

 今日は「在外邦人救出に立ちはだかる課題」と称して、かつて、西アフリカにおいて石油関連施設のテロ対策業務に従事していた時に、「ここに自衛隊がいたらどうなるだろう?」と考えていたことをお話しします。

《海外で経験したこと》
 私は、大学時代をいれると10年以上の海外生活を経験してきました。翻訳通訳業でキャリアを開始し、旧日本軍等のパプアニューギニア方面における戦いの歴史ドキュメンタリー映画の作成(後に、オーストラリアの映画賞を受賞)、日豪戦没者の遺骨収容のお手伝い等を行い、パプアニューギニアやナイジェリアでビジネスの立ち上げをお手伝いしました。
 パプアニューギニアは、移民社会、300の部族、300の言語からなる多部族国家であり、治安が悪く、銃を使用した重犯罪の発生率がとても高いハイリスク地帯で、日常的に襲撃事件が発生していました。そのため、24時間、自分の身は自分で守る必要があり、私も銃の取り扱いに慣れるために射撃訓練等を重ね、片時も銃を離せない生活でした。例えば、夜間、車両で移動中に賊から襲撃され、銃撃戦の末、撃退したことも5回程あります。また、現地高官(首相から地方の長まで)との交流も行ってきました。その後、南太平洋、ミャンマー、中東、アフリカ方面に関する政治治安情報の分析を行う仕事を始め、2013年、アルジェリアで石油関連施設がテロリストに襲撃され、現地の日本人勤務者10名が死亡した事案を契機に、ナイジェリアの石油関連施設において日本人として初のテロ対策業務に従事しました。最近では、イギリス(ロンドン)で軍、警察関係者も参加する誘拐人質事案に対するFirst Responder訓練にも参加してきました。
 これらの経験から痛感していますのは、「日本の会社、特にそのトップが海外におけるテロに対していかに無知か」ということです。その意識の低さに愕然としています。
 テロに備えるうえで最も重要なことはインテリジェンスです。「情報の収集と分析」、90%はこれで決まるといっても過言ではありません。
 いくら重武装しても使えなければ役に立ちません。
 いくら訓練をして武器を使えても、不意を突かれたら役に立ちません。
 「これから何が起こるのか」「何が起こり得るのか」を予測できなければ適切な対応はできません。

《過去の治安リスク予測事例》
1 2008年、パプアニューギニアの事例
 パプアニューギニアの実質的な政治・経済は旧宗主国オーストラリアが握っていました。そのため、白人に対する反発感情があり、これを利用して中国が進出してきていました。
  このような中、地元部族の動向調査の結果、近い将来、反中国人暴動が起こる可能性を察知しましたので、私は現地人の従業員を通じて暴動を計画している勢力に、日本人と中国人は違うこと、特に日本は戦時中も今もパプアニューギニアに対して親切であることを伝えさせました。その結果、全土的な反中暴動が発生しましたが、日本人の被害はありませんでした。
2 2013年~13年、ナイジェリア
  マフィアグループ、南部武装民兵集団等が石油施設、パイプラインを襲撃していました。マフィアと言ってもロケット砲から、海賊に至っては舟艇も保有しているほど重装備でした。そこで、マフィアグループや労働組合内に情報網を構築し、日々の犯罪や武装集団の動向、労働組合のストライキ計画等を把握して対抗策を講じました。また、イスラム過激派「ボコハラム」による攻撃の可能性を予測し、日本大使館警備官に情報を提供しました。
3 2015年、バングラディシュ
  日本人を標的としたテロ攻撃の可能性が高まっていることを予測しました。そこで、バングラディシュに進出している、または進出しようとしている日本企業に「警戒すべき地域」であることを助言しました。ある企業のトップは助言に対し、「我々は、JICAとして行くので安全です。」と言い、耳を貸しませんでした。翌年7月に日本人7人がダッカでテロに巻き込まれ、殺害される事件が発生しましたが、この7人全員がJICA関連企業に勤務していました。日本人には、「親方日の丸だから安全」という妄想が蔓延しています。今後、海外における日本人の被害が増加することを懸念しています。
4 その他
(1)パプアニューギニアにおける軍事クーデター未遂(2012年)
(2)ブルネイ国王が絡むイスラミック・マラユ連邦設立構想のリスク分析からフィリピンのキラム3世によるマレーシア、サバ州への上陸事件
   ブルネイは、ロイヤル・ダッチ・シェルの傀儡国家とも言われ、重要な
  政策は、ロイヤル・ダッチ・シェルの幹部がゴルフをする場で決定するとまで言われています。これに反発するイスラム教徒のブルネイ国王が、東南アジアにイスラム教の連邦制国家を樹立する構想を持ち、ブルネイ国王に共鳴するフィリピンのイスラム教徒であるキラム3世が、約400人の傭兵をサバ州に上陸させたものです。ブルネイ国王の後ろには中国がいるとも言われています。
(3)イスラム国の北アフリカ進出、エボラ出血熱拡大
   これら予測は、全てに秘密の情報があったわけではなく、現地の公共ニュースとヒューミントから得られた情報です。特にヒューミントは貴重で、欧米のメジャーなニュースやこれを翻訳しただけの日本のメディアからは絶対に得られない情報です。

《テロ組織の背景と各国の暗躍》
 中東やアフリカで跋扈しているテロ組織の背景には何があるのか?
 テロ組織の特徴として第1には、「地下資源が豊富だが貧しい。そして政府が機能していない場所」に現れる。つまり地下資源がない所には決して現れない。
 第2は、「大量の最新兵器と各種装備を保有」している。また、戦略・戦術についても政府軍を凌ぐものが立案できます。襲撃後に、地図で確認すると政府軍の配置を正確に掌握しているような作戦行動を取り、しかも退路を断つ。まるで、空から見ているのではないかと疑ってしまうほどです。
 彼らが生活しているところは一日で1ドル程度しか稼げない地域がほとんどです。それにもかかわらず、豊富な資金があります。一発、数千万円もする地対空ミサイルとかロケット弾を持ち、1台当たり1200万円以上もする防弾車を50台、場合によっては100台近くも揃えて攻撃してきます。しかも、防弾車というのは故障しやすく稼働率が低いものです。さらに彼らの活動する砂漠地帯には舗装された道路もありません。そのような車両を、港がどこにもないような砂漠地帯に、いったい誰が金を払って調達し、いったい誰が整備補給を担当し、後方支援をしているのか?私には全く分かりませんでした。
 第3は、ISISでもそうですが、「リクルートシステムが確立」されています。数年前、パキスタンで逮捕されたISISのリクルーターの話によると、一人リクルートすると600ドル(パキスタンの年間世帯収入:約340ドル、JETROの2014年調査による)になったそうです。リクルートがビジネスとなっています。では、そのリクルート料は、どこから支払われていたかというと、そのリクルーターはアメリカ国内から支払われていたと白状しています。また、ISISが面白いのは、アラブ人は月400ドル、欧米人は月800ドルの給与が支給され、妻帯者には手当も出しています。生活の保障システムがあるわけです。通常、テロ組織等ではこのようなことは考えません。しかし、ISISはベイルートとかエジプトの銀行とかを利用して資金調達を実施しています。いったい、背後には誰がいるのか、全く分かりませんでした。
 しばらく調べていくうちに、かつて、アフリカや中東に権益を持っていた旧宗主国が陰で支援しているという記事に時々遭遇するようになってきました。こちらから聞かないと話してくれませんが、現地の情報機関の人等と仲良くなってくると、そういった話をポロポロと話してくれました。
 たとえば、「アルカイダ」の源流は、アメリカがサウジアラビアの資金を使って旧ソ連に対抗させるために作ったムジャヒディン(聖戦士)の集まりです。そして、「アルカイダ」という言葉は、アラビア語で「基地」とい意味です。オサマビン・ラディンがパキスタン国内で聖戦士を訓練した基地(ベース)が語源と公式には言われていますが、実は違います。ベースはベースでも、CIAやサウジがムジャヒディンを管理する名簿、「データーベース」というのが正しい語源です。彼らの呼称として「アルカイダ」という名称を、アメリカが隠語として使用したのが始まりです。これは、欧米の情報機関の人間であれば常識です。2003年、英国のクック外相は、アルカイダの語源がデーターベースであることを言ってしまいました。また、ヒラリー・クリントンも議会で証言していますし、「アルカイダにお金を出して作り上げたのは我々自身である。」ともYouTubeでも述べています。しかし、この情報は日本国内では、ほとんど流されていません。
 このように、日本の常識と私が世界から得た常識が、あまりにもかけ離れていることに衝撃を受けています。
 また、日本のジャーナリストが一人捕まっていると報道されているアルカイダ系のヌスラ戦線、彼らとイスラエルは協力関係にあります。シリアと戦って負傷したヌスラ戦線の兵士をイスラエル陸軍がゴラン高原で治療しています。このことは、イスラエルは隠していませんし、国連の現地部隊からもイスラエルのヌスラ戦線に対する治療行為について報告されています。一方、ヌスラ戦線側は、ヒズボラからのイラン情報をイスラエルに提供し、イスラエルは、この情報をイランとの国境近くに進出してきたイラン革命防衛隊に対する攻撃に利用しています。イランは准将を指揮官とする司令部を国境近くに置いており、イスラエルとしては、これを許してはおけないので、准将が乗っている車両をイスラエル国境内からヘリによって攻撃、暗殺することを何度もやっています。これが、今、向こうで2014年12月から起こっている秘密戦争の現状です。
 シリアの過激派は、反アサド勢力で穏健派と言われていますが、やっていることは過激派となんら変わりありません。彼らを最初に支援したのはサウジアラビアやカタールで、東欧製の武器を調達し、軍の輸送機を使って武器や物資を空輸しています。ヨルダンも自国の航空会社を使って、ロシアの大型輸送機をチャーターしヨルダン国内に空輸、そこから陸路でシリア国内に武器を輸送しています。武器は東欧製が主流でしたが、最近は不足してきたので、ほとんどがアメリカ製になっています。先般、トルコ軍機がロシア軍機を撃墜した事件がありました。撃墜されたパイロット救出のため、ロシア特殊部隊がヘリ2機を使って向かいましたが、1機が撃墜されました。この時、撃墜したトルコ系のいわゆる穏健派の武装勢力が使用したのは、アメリカ製の対戦車ミサイルです。また、撃墜した機体からヘリのパイロットを引っ張り出して射殺、遺体を引きずり回していた時に叫んでいたシュプレーキコールは、ISと全く同じイスラム原理主義者の言葉です。それをもって、穏健派と言えるのか?メディアが言っているから穏健派なのか?ということです。
 ISに関しても、アメリカ情報機関が2012年に、「今後シリア北部にISという武装勢力が発生する可能性がある。彼らはアメリカの敵対勢力ではなく、アメリカの国益に合う戦略的資産である。」という報告書を作成しています。また、2013年には、ホワイトハウスの安全保障チームが、ISに武器を提供することを全員でオバマ大統領に進言しています。このことは、マケイン上院議員がテレビで、うっかり漏らしてしまいました。
 こういうことを一つ一つ拾っていくと、背景がおぼろげながらも見えてきます。組織的なテロ、大量の資金、何百億という単位の資金を動かさなければ出来ないような作戦、武器を誰が提供しているのかがだんだん見えてきます。
 ただ、私は善悪で物事を決めてはいけないと思っています。アメリカも、どの国も自国の国益を追求するためにやっているのです。我々日本人が、良い、悪いと言っても仕様がないわけです。私は、こういう事実を知りながら、知らない顔をして国の方針を決めていくことが国として重要と考えています。日本のメディアやCNNが報じていることだけを信じて、何も考えないで突っ込んでいくと大変なことになると危惧しています。
 次にイラク軍とイラク政府が怒った「利敵行為」ですが、イラク軍がISと直接戦闘をしている最中に、欧米の輸送機が飛んできて大量の武器・弾薬をISの上に投下したというものです。この行動は写真撮影もされ、イギリス軍機が撃墜されたという報道もあります。しかし、こういうことは、西側のメディアは決して報道しません。
 もし、将来、我々が在外邦人を救出する事態になれば、こういうことを、しっかりと理解したうえで「アメリカとしっかり組む」、「NATOの協力を得る」ことをするべきであります。知らないで協力すると、いいように使われて、「最後の最後になって、気が付けば取り残されてしまった。」という事態になりかねません。ある意味、狡猾に立ち回る必要があります。狡猾に立ち回るためには、こういう情報を知っておかなければなりません。
 ボコハラムの背後に見え隠れする旧宗主国の陰ですが、ナイジェリアで活動するボコハラムは大量の兵器等を保有しています。2014年10月、フランスがチャーターしたロシアの輸送機がナイジェリア北部に緊急着陸しました。ナイジェリア税関が輸送機を調べたら、中から武装ヘリから兵員輸送車、大量の武器弾薬が出てきました。ナイジェリア政府は激怒し、フランス大使を呼びつけ質問しましたが、フランス大使は口ごもるだけで、ほとんど説明にならなかったということです。昨年4月、ボコハラムはカメルーンの北部にも現れました。ナイジェリアもカメルーンもフランスが旧宗主国です。カメルーン軍が捕虜にしたボコハラムの戦闘員の中に8人のフランス人がいることが判明しました。これは地元の新聞も報道しています。カメルーン政府は怒っていますが、フランス政府は説明もせずに、ただフランス人を返せと圧力をかけています。こういうのは、ロイターとかには全く出ない情報です。
 これが、各国が中東やアフリカ、世界各地で行っている暗闘の実態です。

《最後のフロンティア=アフリカ》
 アフリカ大陸には、日本、インド、中国、アメリカ、欧州がすっぽり入る広大な大陸です。そして、この広大な土地の下には、石油をはじめ金、銅等の各種鉱物資源が大量に眠っています。しかも、手つかずの状態です。この大陸に欧米、中国、ロシア、インドが積極的に進出しています。アフリカの利権をいかに確保するかが、自国の経済成長を左右することを分かっているからです。今後、人口は21億を超えます。この巨大なマーケットをいかに押さえるか?日本は完全に出遅れています。
 アフリカの多くの国が独裁的な政治体制です。そして、民族宗教紛争が各地で起こっています。トラペアは、キリスト教徒の軍人が、イスラム教徒の男性をブーツで蹴り殺している写真ですが、こういう写真が、毎日のようにアフリカの新聞に出ています。これが現実です。

《資源戦争の最前線:中東&アフリカ》
 資源戦争の最前線、これが中東やアフリカです。日本は90%以上の石油を中東に依存しています。ここの現実は、不安定な中東・アフリカです。この不安定が諸外国にとっては重要です。たとえば、イスラエルや石油メジャーにとり、イランは最大の敵です。イランを徹底的に封じ込める、あるいは戦うことを、特にイスラエルの急進右派(シオニスト)は、一生懸命やっています。このシオニストと仲が良いのがトランプ大統領です。
 スンニ派とシーア派の戦いも起こっており、イスラエルやアメリカの情報では、イランがアルカイダやISISを支援して云々となっています。しかし、ISISもアルカイダもスンニ派です。イランはシーア派です。シーア派がスンニ派の武装勢力、テロ組織を支援することはあり得ません。これが、アメリカ発の情報では、イスラム教のテロ組織となると、スンニ派もシーア派も一緒になる。これは、注意する必要があります。
 イランも秘密活動を数多く実施しています。シリアでも活動していますし、イラクのバクダットの夜は、完全にイラン革命防衛隊が支配しています。南部も完全にイランの支配下にあります。イスラエルがイランを怖れるのは理解できますが、だからといって、何の精査もしないでイスラエルの情報を鵜呑みにするのとは少し違うと思っています。
 アフリカでは、「アメリカと欧州の旧宗主国」と「中国、ロシア、インド」の激しい暗闘が行われていますが、すでに中国と韓国は現地に根を張っています。アフリカには中国人が80~100万人、韓国人はおそらく万単位、それに対して日本は7千人です。アフリカにおける日本の知名度は、ほぼ0です。
 「豊かなアフリカの地下資源をロシア、中国、インド、日本といった第三国に独占的に確保させないこと。」
 これは、どこの方針でしょうか?実は、アメリカアフリカ軍(USAFRICOM)の方針です。アメリカは、アフリカでは日本を脅威と見なしています。AFRICOMは、2007年に創立されましたが、「アフリカにおいて日本にも独占的な地位を確保させない。」というのが軍の戦略目標となっています。
 こういった彼らの本音を分かったうえで、にこやかに握手するのか、全く知らないでニコニコして「フレンド、フレンド」と言っているのでは大きな差があります。実際、アメリカ軍は、「アフリカの角」から「サヘル」まで、大陸中央から沿岸部の島々まで、至るところで活動しており、基地建設、安全保障協力、軍事訓練、軍事顧問の展開、特殊作戦など、ドローンを飛ばし膨大な情報を収集しています。彼らは、「どこの過激派が、どんな動きをしているのか」「どこの政府軍が、どんな動きをしているのか」、全部把握しています。
 すでに秘密戦争は始まっています。
 2015年11月、パリでは同時多発テロが起こりました。私はこの事件は胡散臭いと思っています。軍事訓練も受けていない酒ばかり飲んで麻薬をやっている5人の若者(日本でいえば、ちゃらちゃらしている暴走族の若者)が、誰かから大量の兵器をもらい、30分間、組織的に攻撃した結果、130人を殺害し、350人の負傷者を出すということができるでしょうか?日本で考えれば、あり得ないことはすぐ分かります。彼らはイスラム原理主義者を名乗っていましたが、ヨーロッパ生まれで、酒と麻薬をやり、モスクには行ったことさえもない若者でした。そのような彼らをなぜイスラム原理主義者といえるのか?彼らは単なるテロリストであり、イスラム原理主義者とは全く関係のない若者ですが、なぜか日本の報道ではイスラム原理主義者となっています。いろいろ調べましたが、この事件は胡散臭く、政治的な事件です。この事件の後、フランス政府は対テロ戦争に本格的に参戦しました。参戦により、フランス軍や企業は、それまで入手できなかったミラージュ等の各種戦闘機の砂漠戦におけるデータを入手することが出来ました。その結果、フランス企業に対してラファール等の戦闘機の購入要望がインド、カタール、エジプトから大量に届きました。今、フランスの軍需産業は特需に沸いています。それが事実です。
 パリ同時多発テロの1週間後に、マリ共和国のラディソン・ブルーホテルが襲撃される事件が起きました。ナイジェリア訛りの犯人が、国連のナンバーを付けた車に乗ってホテルに乗り込みました。そのため、ホテルの警備員はその車両を止めることができませんでした。僅か数人で、小銃AK47を使用して多くの宿泊客を殺害した事件です。ナイジェリアとマリは、千キロ以上離れていますが、なぜかナイジェリア訛りの人がやってきたわけです。最初に殺害された9人は、中国鉄道公社幹部(幹部クラス)とその中国の鉄道を作るための大型重機を輸送していたロシア大型輸送航空会社の職員でした。中国は、アフリカ各地で兆単位の鉄道プロジェクトを数多く受注しています。日本は完全に負けていますし、欧米もなかなか受注できずに歯ぎしりしていました。中国は、以前は評判が悪かったのですが、最近は好感度が上昇しています。日本は全く無名ですが、中国はどんどん展開しているのが現状です。私は衛星放送の中継を見ていましたが、マリはフランスの植民地でありましたが、なぜか事件発生の1~2時間後には、完全武装したアメリカ軍特殊部隊がホテルを包囲していました。これを見て、私は不思議に思いました。「アメリカ軍は、どこからきたのだろう?」と。AFRICOM司令部はドイツにあります。また、アフリカ諸国は、アメリカ軍の司令部を国内に設置させることを拒否しています。
 おそらく、秘密戦争の一環であったと想像しています。

《テロ事件の背後》
 2013年1月、アルジェリアのイナメナスにある石油プラント建設現場で日本人10人が殺害された事件です。犯人はアルカイダとか言っていますが、単なる犯罪者です。この犯人は、イスラム過激派であれば行わない多くのこと(例えば、外国人誘拐、資金洗浄、コカイン密売)に手を染めていました。あまりにもアルジェリア国内で暴れるので、アルジェリア政府が困りはて、彼に「モロッコの権益を攻撃せよ」と秘密合意していたことが明らかになっています。モロッコは欧米と親密な国ですが、アルジェリアは反欧米です。このプラントはイギリスのBPが運営していましたが、被害者(死者)が最も多かったのは日本人です。イギリス人よりも多かったのです。そして、この襲撃を指揮していたのは、二人のカナダ人(一人は白人)です。かれらのパスポートが発見されています。カナダ政府は火消しにやっきになっていますが、なぜカナダ人が、こんな所で大量の兵器をもって犯罪組織を指揮していたのか未だに解明されていません。その後、調査はなされましたが、なぜか調査結果は発表されていません。もし、この日本の会社が現地に日本人のセキュリティー要員を置いていたら、必ずこういうテロ集団の動きは掴めたでしょう。砂漠の真ん中で大量の武器を集めているという情報は、現地では必ず耳に入ります。ジャングルでもそうですが、他部族国家というのは、1日数百キロも情報が伝達します。電話がない所でも行きます。しかも、その情報は非常に正確です。なぜなら、過酷な環境の中で彼らが生き残ってきたのは、情報をいかに早く、正確にということで生き残ってきたからです。しかし、この日本の企業はセキュリティーをBPにお任せにして放置してきたのです。彼ら(BP)が安全というから安全ですと信じ込み、残念なことに副社長も殺害されたわけです。
 次にナイロビ・ショッピングモール襲撃事件(2013年9月)が起こりました。ショッピングモールは、イスラエル人が経営しており、奪還作戦では、なぜか、モサド要員が戦闘に参加しています。61人が犠牲になりましたが、ケニア治安部隊は、突入後のモールで酒を飲み、高級な家電製品等を盗んで、死体袋に入れて搬出し、証拠隠滅のため、ロケット砲でビルを破壊しています。現地の治安部隊といっても、この程度です。
 多くの日本の会社が、「現地の政府や治安当局が保障してくれています」と、5分程度の安全会議で終わっています。現地の当局を信用しきっています。自分の命を、本当にこの程度の現地当局に預けていいのかということです。ナイロビ・ショッピングモール襲撃事件では、公式発表とは異なり、まだ犯人は捕まっていません。どうやって逃走したのか?これも謎です。

《世界的に増加する誘拐人質・恐喝事案》
 身代金目的の誘拐は、今やビジネスとなっています。10年前は、中南米が主流でしたが、現在はアフリカ、中東、イラン、パキスタン、フィリピン等、世界中で誘拐が起こっています。欧米では身代金保険も商品として整備されています。
 身代金目的ではない政治的な誘拐も起きています。ISによる日本人誘拐殺害事件は、100億円要求していましたが、安倍総理の中東訪問に合わせて公表してきました。完全に政治目的です。この時、不正確な情報ですが、現地に派遣された日本政府担当者は、ISとコンタクトさえ取ることができなかったと聞き及んでいます。
 日系企業に対する恐喝・脅迫も起こっています。私が、ナイジェリアで日系企業の進出を手伝っていた時に、現地の競合企業とトラブルがありました。その相手企業は、現地の大手企業(日本の三菱のような)でしたが、その企業は、競合相手を車で轢き殺す等のことを繰り返して成り上がってきた企業でした。アフリカには、こういう会社が数多くあります。綺麗なホームページを持ち、立派なビルに入っていますが、その実態は、半分「やくざ」のような会社です。私は、再三、上司に相手会社の危険性について説明し、注意を促していましたが、その上司は、セキュリティーが大嫌いな人で、お客様から「今日は安全です。」というFAX1枚あれば、安心する人でした。一方、私は朝の10時までに各種情報を集め、「昨日、このような武器の移動がありました。銃撃事件がありました等々」と、連日、危険な情報を報告していました。ある時、上司から「そういうニュースをもってくるな。疲れる。嫌がらせか?」「お前たちは、オオカミ少年だ。危険、危険というが、何も起こらないではないか?」と言われ、私も頭にきてしまい、取引先の競合相手が上司を襲撃する可能性が高い情報を入手していましたが、上司に伝えませんでした。その日、本社の上司と一緒に競合相手の会社へ交渉に行った上司達は、会議の席上、突然、武装警察に身柄を拘束され、パスポートを取り上げられて留置場に入れられてしまいました。以後、軟禁状態に置かれ、連日のように競合相手のNo2から「まだ、生きているのか?あとどのぐらいかな?」と脅迫を受け、ストレスで完全にまいってしまっていました。大使館にも頼み、7週間後に、なんとかパスポートを返してもらい我々の施設に収容しましたが、その際にも、襲撃される可能性があるので、防弾車を雇いコンボイを組んで迎えに行きました。その上司はあまりも強いストレスを受けたため、帰国後、2箇月でお亡くなりになりました。私は、亡くなるとまでは思っていなかったのですが、日本での葬儀に出席し、ご家族の悲しむ姿を目にして私は後悔の念にかられました。
 「インテリジェンスとか危機管理は、成功しても誰からも褒められないが、失敗は、こういう結果しか招かない。」「何か起こるといっても、起こらなければ、心配性だと笑われる。しかし、失敗したら取り返しのつかないことになってしまう。」
 今までに失敗から学んだ教訓です。
 外国政府による日本企業に対する罰金も注意する必要があります。アメリカが何百億もの罰金をある日本企業に科しましたが、こういった国がらみで行われる罰金から、日本企業を官民共同でいかに守るかが課題です。
 シリア日本人誘拐殺害事件を支援したある国の捜査担当者は、「現地に派遣された日本政府担当者らは、いずれも明らかに情報的に孤立しており、また誘拐交渉の知見も経験も有していなかった。」と話していました。「何をしに、やってきたんだ?」という目で見られていたそうです。悔しいですが、これが事実です。これも、戦後70年、日本がアメリカの半分属国のような状態でやってきた結果であろうと思っています。

《政治的な混乱や戦争による国外脱出》
 アラブの春の場合、イギリスは、E中隊(SAS隊員6名+MI6要員1名)と呼ばれる特別な交渉チームを派出しています。彼らは、最初にリビアにヘリで侵入し、現地の部族長と話しをつけて自国民救出の安全を確保しています。中国は、ソマリア海賊対処部隊の艦艇や、中国本土から大型輸送機を派遣して、10日間で4万人以上を救出しています。韓国も、民間機や船舶を政府がチャーターして1,400人を救出しました。しかし、日本政府は、ほとんど在外邦人の国外脱出に関与しませんでした。大使館が渡航禁止措置を取るのが精一杯でした。これが、現実かなと思います。
 エボラ出血熱の時は、情報が混乱し、感染速度が速すぎたため、あっという間に、ナイジェリアにいた私の周辺が取り残される状況となりました。私も脱出を計画しましたが、こういう時は、人種で脱出の順番が決まります。というのは、ポートハーコートに空港があり、航空機会社としては、エールフランスとルフトハンザがありました。彼らが最初に優先的に席を割り当てたのは、白人です。その次が、彼らのペットです。三番目に韓国人です。なぜ、韓国人なのでしょうか?韓国人は、その航空機会社で勤務している職員の妻子を、現地の韓国系企業で採用し、厚遇しているからです。事実上の賄賂ですが、こういう時に役立つわけです。私は、韓国の知り合いに頭を下げて、日本人の座席を確保したわけです。
 これに文句を言ってもしょうがないわけで、この現実を理解しながら対処するわけです。

《さらに多くの日本人が犠牲に?》
 大使館は、日本人救助に積極的ではありません。というより出来ません。能力がありません。私が、ナイジェリアに赴任した時、大使館の一等書記官から目の前で言われました。「何かあっても、大使館に救助を求めないで下さい。絶対に助けません。」と。びっくりしましたが、「そもそも期待していませんから大丈夫です。」と言いました。
 日本企業の危機意識は、国際的にも低く、例えば、欧米の会社ならば、現地のセキュリティーマネージャーが「今、○○空港付近で暴動が起こっています。会長は、そのままUターンして下さい。」と言えば、会長でもそのまま帰ってしまいます。しかし、日本の企業では、「せっかく、社長がGWを返上して来られているのだから・・・」という話になってしまいます。安全という話は、いくらインテリジェンスを担当しているとはいえ、暴動や誘拐の細部まで正確に予測できるわけではありません。情報に極端な正確性を求めたり、「これを言ったら、自分の昇任が・・・」ということから離れてインテリジェンスに取り組まないと、日本のVIPをわざわざ危険な所に放り込んでしまうことになるわけです。
 過去の少ない経験則への過信と想像力欠如、そして貴重な経験値が共有されないことがあります。ある会社の部門が、海外で痛い目にあっても、社内でさえ、その情報は共有されていません。違う会社同志では、尚更です。そもそもインテリジェンスを扱う部門がありません。その結果、他の会社や部門が同じような被害に遭うことが多発しています。情報共有どころか、逆に封じ込めてしまうのが日本の企業です。日本企業は、懲りずに、ネギをしょった鴨のごとく、どんどん現地に出て行っています。そして自らの安全を海外の顧客や現地のパートナーに依存しきっています。「現地の警察が安全と言っている。」「現地のパートナーが守ってくれる。」とか言っていますが、守ってくれるわけがありません。彼らは自分のことを守ります。余力があれば日本人を守ってくれるかもしれませんが、期待できません。しかし、日本企業は契約書に守ることが書いてあれば、それで良しと考えます。
 危機管理要員は、バイリンガルであることが必要条件です。まず、英語が出来ないと情報共有ができません。しかも、海外経験や危機管理の知識を有する日本人の危機管理要員となると、ほとんどいないのが現状です。これから10年、20年とかけて育てなければなりません。一方、日本の企業、外務省は、2~3年で配置換えします。安全対策課に入っても2年で交代します。しかも、セキュリティーの地位が低いので、早く出たいわけです。すると、安全対策専門家も地域専門家も育ちません。海外の危機管理要員は、死ぬまで危機管理の業務に携わります。職人です。そういう彼らが持っている横のネットワークに、2,3年で代わる人間が入っても情報をもらえるわけがありません。
 日本の企業は、コンプライアンスが強すぎます。情報を集めるために、現地で工作員を雇いますが、当然、工作費が必要となります。様々な形の賄賂を使うわけです。時には、家族から懐柔していきますが、企業はそのための費用を認めてくれません。領収書のない金は一文たりも出せないというわけです。どうするか?最初は、ポケットマネーから出していましたが、その後、知恵を出し合い、何とか処理することが出来るようにしました。コンプライアンスを守ることは大切ですが、それに羽交い絞めにされてしまうことは、本来の目的から逸脱しています。コンプライアンスは、企業の価値や社員を守るためにあるはずです。コンプライアンスを守って企業や社員を危険に晒してしまっては、何の意味もありません。また、日本企業は、意思決定が遅く、「親方日の丸」という安心感を持ち、アメリカ発の情報を盲目的に過信しています。
 アフリカにおけるテロ事件では、現地にいた日本人の作業員や駐在員は、「過去に何もなかったから大丈夫」という認識でした。過去に何もなかったら本当に大丈夫でしょうか?地震前の熊本のホームページには何が書いてあったでしょうか?「熊本には過去、120年間、地震が起きていません。安全県です。」とありました。
 東京で大地震が起こると思う方はどれくらいおられるでしょうか?
 では、今夜、明日にでも起こるかもしれないと思う方はどれくらいおられるでしょうか?
 先の質問からは、手を挙げた人が、ずいぶん減りましたが、これが不思議です。テロも同じです。「テロは、いつか起きるだろう。しかし、今日、明日は起こらないだろう。」と人は思ってしまう。これを「明日、起こるだろう。いや、今も起こっているかもしれない。」と考えるのがインテリジェンスを扱う者の仕事です。

《在外邦人救出作戦が直面する困難》
 法律の限界です。グレーゾーンやポジティブリストの限界です。また、外務大臣が発言しましたが、「自衛官はジュネーブ条約の捕虜として扱いを受けられない。」という政治的な問題です。例えば、あるAという国の中で、北部のある地域で勝手に独立国を宣言した武装組織があったと仮定します。そのエリアに、自衛隊の輸送機が墜落し、パイロットが捕まりました。武装勢力は、そのパイロットを捕虜として扱おうとしましたが、日本の外務大臣が「捕虜でなくて結構です。」と言ったら、どうなるでしょうか?そういう危険性があります。アフリカ、中東には多くの武装勢力がおり、それぞれ独立を宣言しています。そのような地域の上空を避けて、安全なところだけを飛行することは不可能です。政治的な理由で、いかに日本人を危険に晒しているか?
 次に装備の問題です。
 「長距離飛行可能な輸送機はどうするのか?」
 「あったとしても、防弾装備はどうするのか?」
 「通信、火力支援や後方支援はどうするのか?」
等々です。これらは、我々自身で解決しなければならない問題です。
 一方、民間で協力できる分野は何か?それは、インテリジェンス(現地情報の収集)や、現地で誘導支援をしてくれる友好的な部族やガイドの確保です。 なかには、日本は実力がないので「米軍に全部お願いしよう。」という考えもあります。しかし、前述したようにアフリカにおけるアメリカのわが国に対するスタンスは、日本周辺におけるスタンスとは異なっています。協力を得るのは重要ですが、全てを依存すべきではありません。外国に依存するということは、その国に借りを作るということです。その借りが将来、どんな外交問題になるかもしれません。「タダほど高いものはない」と心得、準備することが重要です。

《海外安全対策に自衛隊出身者を活用》
 本日、私が最も言いたかったことは、海外安全対策に自衛隊出身者を活用すべきであるということです。企業にとっての利点は、
① 安全対策の専門家であり、現地の地図を見れば判読できるし、第一救護ができる。
② 各国のセキュリティ要員は、軍人です。彼らと「共通言語(英語という意味ではない)」で話ができる。
③ 緊急時の避難誘導等ができる。
④ 武器弾薬・爆発物を理解し、使用した経験がある。
ということです。
 海外で従業員の安全を守り、事業を継続するために企業経営者は、自衛官の価値を理解することです。
 一方、自衛官が習得すべきスキルとしては以下のとおりです。
① 高度な英語力
  会議は、全て英語で行われます。英語の資料を読み込み、分析する。緊急時のやりとりができる等の高度な英語力です。
② インテリジェンス力
  情報収集と、多くの情報から正しい情報を見つけ出す分析力が必要です。
 これらは、経験から得られます。また、万が一の場合に、現地人の宣撫工作ができることも必要です。
③ 海外在住経験
  海外での在住経験も必要です。できれば、自衛官が民間会社に出向して、
 2~3年の海外でのビジネスを経験する。民間でしか見えないことも知る機会になります。
④ 人間力・交渉力
  こういうことを官民協力して取り組み、投資することが、日本人及び日本の国益を守ることに繋がると思います。

《元自衛官に求められる仕事(中東・アフリカ)》
 日本が必要とするものの第1は、各種資源(石油、天然ガス、金、銅、レアメタル、農作物、水産物)です。そして次に巨大市場へのアクセス、これも日本企業が成長するために必要です。そのために、日本から進出する企業の現地派遣危機管理要員が実施することは、現地インテリジェンスの収集分析です。これには権力の分析や文化人類学的アプローチも必要です。例えば、遊牧騎馬民族なら1日でどのくらい移動するのか?ジャングル地帯ならボートでどのような攻撃方法なのか?等々です。文化が異なれば思考パターンも違ってきます。「東アフリカの人は長距離が早いが、西アフリカの人は短距離が早い。」となると攻撃パターンも違ってきます。武装勢力は、攻撃の前にはブードゥー教の儀式を行い、麻薬を大量に摂取していますから、腹部をAK47で1~2発撃たれても、平気で突っ込んでくる。政府軍のほうが逃げてしまいます。そういうものをしっかりと理解しておくことが必要です。それから旧宗主国、周辺国との関係も分析しておく。どういう影響をもっているのかを掴んでおくことも重要です。これらのことと物理的な警備の両方を行うことが必要です。
 元自衛官が危機管理要員として企業に配置されるようになれば、政府の戦略的資産になります。今まで、文化情報とビジネス情報しかなかったところに、治安、政治情報が入ってきます。また、自衛官同士の横の繋がりから、「どこの企業は、こんな被害にあった。」等の今まで分断されていた企業の情報が共有できるようになります。また、現場では元自衛官の誘導に従って逃げることができます。政府や防衛省は、元自衛官からの情報を基にアセスメントが可能になり、いざという時には自衛隊の救出チームを支援することも可能になります。

《諜報活動と危機管理能力が日本を守る》
 諜報活動(インテリジェンス)と危機管理対策は、今の日本に一番欠落している事項です。これこそが、日本を守ります。
 インテリジェンスは力です。そして危機管理の官民協力が必要不可欠です。特に泥臭いヒューミントを馬鹿にしてはなりません。オシント(オープン・ソース・インテリジェンス)で90%の情報は入ってきます。それに、ヒューミントを加えれば、かなり正確な情報となります。インテリジェンスは、時に何万の兵や何兆円もの資金に匹敵します。
 発信力の強化も必要です。今が情報戦の真っただ中であることを考えれば、様々な言語で日本の主張を発信する。そして、外国の情報を収集・分析することも必要です。
 インテリジェンス要員に必要な素質は何か?
 政治と軍事、歴史等への興味や高い外国語力、武器使用経験等々がありますが、最も重要なのは「あまのじゃく」であるかということです。物事を疑い、裏を見ようとする人です。次に、マクロとミクロの観点から分析ができるということです。今、目の前で起こっていることから、「その背景は何か?」「宗主国との関係は?」等、マクロの視点を持つことです。また、カネの臭いを嗅げる。この武器は誰が資金を出したのかを考える。そして最後は、一生を情報稼業に捧げる覚悟があるかということです。

(添付書類)

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