平成22年度防衛大学校卒業式

 
 3月20日、卒業式が挙行され本科第55期生409名(人文社会科学専攻74名(男性59名、女性15名)、理工学専攻335名(男性313名、女性22名)、理工学研究科前期課程第48期生53名(男性51名、女性2名)、同後期課程第8期学生11名(男性のみ)及び総合安全保障研究科前期課程第13期学生10名(男性8名、女性2名)が小原台を巣立った。任官辞退者は12名であった。

 今年度の卒業式は、3月11日1446東北・関東地区で発生した未曾有の大災害の最中であることを考慮し、式典恒例の帽子投げの自粛、観閲式は実施せず、午餐会をアルコール抜きの昼食会とするなど実施要領を大幅に変更縮小して挙行された。

 この様な状況の中、人命救助、災害復旧、福島第1原子力発電所事故対処の陣頭指揮をとる管内閣総理大臣と北澤防衛大臣の出席が危ぶまれていたが、指揮の合間を縫って参列された。訓示の中で総理は冒頭「危険を顧みず、死力を尽くして活動を続ける自衛隊員諸君を誇りに思うとともに、彼らを支えるご家族の皆様に心から敬意を表したい。」と述べられた。また、「献身的な活動を通じ、国民の期待にしっかり答えることで、自衛隊への信頼はゆるぎないものとなる。歴史の分水嶺に立ち、同時に戦後最大ともいえる試練の真っただ中での卒業を迎えた諸君には大変大きな期待と責任が課せられている。諸君がこのことを自覚し、新しい時代を切り開いてくれることを願う。」と卒業生に対する期待を述べられた。

 総理に引き続き北澤防衛大臣は、「卒業生諸君の先輩は、国民とともに未曽有の危機を乗り越えるため、被災者の方々の痛みを自らの痛みとして歯を食いしばって頑張っている。自衛隊という実力組織の根幹は人であり、その中核となるのは正に卒業生諸君である。諸君には人徳を涵養し、己を厳しく律することを期待する。」と述べられた。  

 来賓代表挨拶では、拓殖大学教授森本敏氏が同窓生として初めて挨拶された。その中で「防大生の資質に、国家と国民の安全がかかっている。地位と名誉を求めず国家と国民のため、精進せよ。」と激励された。最後に、卒業生代表が「今、先輩方が危機に対して、全力を尽くして対処していることを誇りに思う。われわれもあとに続き、国民の安心、安全のため全力を尽くし、結束して戦いたい。」と答辞を述べた。  

 式典の印象は、例年の卒業式にある高揚感や晴れがましさが抑えられ、やや重苦しい雰囲気となったが、卒業生は現状を冷静に受け入れ粛々と式典に臨んでいた。  

 式典終了後、食堂における昼食会に移つり、先崎同窓会長が挨拶された。「今まさに平時における有事である。この未曽有の国難に対し、1期生から54期生までの同窓生全てがそれぞれの役割に応じて、与えられた任務を達成すべくギリギリの状態で取り組んでいる。その真摯な取り組みが国民に勇気と感動を与え自衛隊に対する期待感に繋がっているものと考える。この期待感に十分に答えることができているのは、部隊の中核となりリーダーシップを発揮している幹部の活躍があるからであり、幹部に対する長年の教育訓練の積み上げがものを言っているのである。卒業生諸官は、この現状をしっかり見据え、先輩同窓生の活躍を自分のことと思い、真に国民の期待に答え得る人材にならなければならない。そのためには長い自衛官生活を通じて自己のリーダーシップを育て、いかなる状況においても実行に移すことができるよう鍛錬することが重要である。最後に、防大卒の誇りを胸に活躍されんことを希望する。」と正に自衛官たる同窓生会長に相応しい挨拶を述べられた。

 その後、式典の緊張から解き放たれ、和やかな雰囲気の中、幹部候補生の制服に着替えた卒業生とご父兄とが卒業の喜びを分かち合っていた。  

 例年に比し華やかさに欠けたものの、参列した全ての人達にとって忘れることのできない素晴らしい卒業式であった。

                                        (記事担当:佐藤)
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